新編・伊勢物語 第四百九十九段 森将軍塚古墳 星原二郎第四百九十九段 森将軍塚古墳 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十九年の卯月の中浣 信濃の国は千曲の里の「森将軍塚古墳」へと行きけり。 行きて、歌を この下に 科野の国の 大王は 今も眠るか 千歳ふり経て 膨大なる 石もて築ける 古墳(ふるはか)の 主を語れ 科野の風よ 古墳(ふるはか)の 石室真日に 晒されて 時空を越えて 蝶現はるる と詠み 六世紀に築かれしと思はるる巨大なる 古墳の周りを廻り、かつ登り千曲川を見下ろし 心を古代に遊ばせけり。