第四百六十八段 清田の大樟(前半)
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十九年の早春
蒲郡市は清田町にある国の天然記念物の
清田の大樟に逢はむと行きけり。
念願が叶ひて歌を
蒲郡 清田の大樟 千歳経て
なほ衰へず 青葉繁れる
蒲郡 清田の大樟 今日もかも
日向ぼこして こだはらず生く
幾つ世の ひとを見て来し 大樟か
「こだはらぬべし」と 諭し吾にいふ
大樟は 千歳を生きて 幹太く
四方に枝を 伸べて神さぶ
大樟の 根方に石の 祠あり
清田の神さま 拝がざらめや
いそのかみ 樟の樹海の 広ごりて
いしちふ清田に 残るひともと