新編・伊勢物語 第四百十二段 蛸の形の雲 星原二郎第四百十二段 蛸の形の雲 昔、男ありけり。今も男ありけり。その男、平成二十九年の新春、ある丘の上に立ち空を見上げ、いと面白き姿形の浮き雲を見つけけり。しからば、歌を 八本の 足ある蛸の 形して ジェット噴射に 冬をゆく雲 と、詠み 石川啄木ならねども「雲は天才である」と思ひけり。