新編・伊勢物語 第三百四十四段 御嶽の秋の植物 星原二郎第三百四十四段 御嶽の秋の植物 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、平成二十八年の初秋の頃 木曾御嶽山の麓を徘徊(たもとほ)り 歌を 葉は枯れて 真弓の紅き 円(つぶ)ら実は 地(つち)に落さず 御嶽の秋 落葉松(からまつ)の 黄葉いまが 盛りにて 御嶽全山 朝陽にかがよふ と、詠み 高原の秋を満喫し 再び来むことを願ひつつ 去り行く用意を調へけり。