第三百四十二段 御嶽山
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十八年の初秋の頃、木曾御嶽山の麓にて
歌を
尖がれるは 摩利支天山 いただきの
その上にあるは 宇宙ばかりなる
剣が峰 頂白く 化粧して
秋の御嶽 厳かなりき
継子岳 継母岳は 隔たりて
御嶽山塊 大きく迫る
落暉いま 御嶽いただき 剣が峰
九蔵峠に 間向ひてたつ
と、詠み 影絵となりつつある
神の山・信仰の山・火の山を
一段と神々しきおん姿と拝みけり。