新編・伊勢物語 第三百十四段 碧南の海徳寺 星原二郎第三百十四段 碧南の海徳寺 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、碧南市にある海徳寺へ行きけり。 行きて歌を 蝋燭の 灯りほのかに 本堂の 昼の広間の 寂かなりけり 山門の 対の仁王の 像古れど 威厳を保ち 悪を通さず 海徳寺の 小さき祠に 年を経し 愛染明王 まなこするどし と 詠み 本堂にて長き時の間を過ごしけり。