新編・伊勢物語 第三百七段 日本人への旅 星原二郎第三百七段 日本人への旅 昔、男ありけり。今も男ありけり。 その男、人類の歴史に興味を持ちけり。 人類の祖のグレート・マザーに思ひを寄せて 歌を アフリカに 人類の母 ひとりゐて 十万年前に 旅はじまりぬ 氷河期の 寒さを逃れ 南下せし 人々つひに 日本に到る 火によりて 暖と明かりと 調理とを 手に入れたるは いつのことならむ と 詠みて 火を操ることこそが、人類をして 人類たらしめし最大の理由と思ひけり。