第二百六十四段 青い眼の人形
昔、男ありけり。今も男ありけり。
その男、平成二十八年の終戦記念日を前して「青い眼の人形」の
歴史を知りけり。日米親善友好の証として昭和の初めに
贈り合った「青い眼の人形」と「市松人形」。
その後、日米開戦がそれぞれの人形に数奇にして悲劇の
歴史を歩ませることになりけり。こんにち、数十体の
人形が現存することを知り、その一体に逢ひに行きけり。
会ひ得たる感激を歌に
昭和二年 日米親善と 贈られて
来し人形は 嗚呼一万二千
校長は 子等を前にし 昨日まで
慈しみ来し人形 竹槍に突く
数奇なる 運命たどり 今ここに
傷みてあれど 生きのびにけり
と 詠み 今も愛らしき「青い眼の人形」に
こちらが、いっぱい涙を浮かべけり。