新編・伊勢物語 第百九十二段 鳥取砂丘 星原二郎第百九十二段 鳥取砂丘 むかし、男ありけり。今も男あり。 その男、平成のある年のある日、 因幡の国は 鳥取砂丘へと行きけり。 鳥取砂丘は砂丘としては唯一の天然記念物なり。 行きて、歌を 空と雲と 海と砂との 色彩は 混じることなき 鳥取の夏 砂丘(すなをか)の「馬の背」越しに 望み見る 日本海かも 鮮やかに碧 と詠み、千代(せんだい)川によって運ばれて来し膨大なる 砂の上を歩み、日本の景観の多様さに旅の満足を 覚えけり。