新編・伊勢物語 第百十六段 続・旅の歌 星原二郎第百十六段 続・旅の歌 むかし、男ありけり。今も男あり。 その男、若き頃より旅をなん好みけり。 ある日、旅立つ早朝に歌を 旅先の 天気のことは 気にはなれ 天にまかせて 出で立つ吾は と詠み、晴れもよし 雨もまたよしと思ひつつ 【天候に対して不平不満を言ってはならぬ】と 言ひをりし祖母 懐かしく思ひ出しけり。