アマゾン・プライムで「危険なプロット」(2012年)を見る。何の予備知識なしに一見に及ぶ。フランソワ・オゾン監督によるサスペンス・コメディ。
高校で国語を教える教師のジェルマンは画廊を経営している妻と二人暮らし。彼は教え子の高校生クロードに文章を書く才能があることを知り、彼の書く自らの日常体験を元にした小説に強い興味を抱く。しかし、いつの間にかクロードが書く小説は、空想と現実が入り混じり、危険な内容にエスカレートしていく。
調べてみたら本作は舞台劇が原作の映画だった。確かにそのような気配が漂う映画だった。クロードが書く小説の内容がそのまま映像化され、その中にそれを読んでいるジェルマンがいきなり現れたりするのだが、こういう手法はわたしが得意とする、いわゆる「メタ・フィクション」の手法に通じるものがある。最終的にクロードが書く小説は、同級生の母親との不倫関係にまで発展し、さらにジェルマンの妻と関係を結ぶに至る。演劇が得意とするこういうメタ・フィクションの趣向を映画で行っている点が興味深いが、小説の内容のエスカレート具合がもっと過激になっても(殺人事件とか)よいのではないかと思う。
同級生の母親を演じている女優さんをどこかで見たことがあると思っていたら、「フランティック」や「赤い航路」などで妖艶な魅力を発揮したエマニュエル・セリエだった。ロマン・ポランスキー監督夫人でもある。まあ、この人なら高校生の男の子とただならぬ関係になってもおかしくないが、歳の差30歳の不倫関係がすんなり実現するのはやはり「恋愛大国フランス」ならではという気がする。さすが「ボヴァリー夫人」「女の一生」「赤と黒」を生んだ国の作家が書いた芝居と言うべきか。
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