23歳の君へ
お誕生日おめでとう。何年経とうともパパの心の中にいる君はあの頃、一緒にシフォンケーキを作った時のままだから、もうすっかり大人の顔をしているであろう君を今見たとしても、すぐにはわからないかもしれない。
そんな自信のないパパではあるが、世界中の誰よりも君を愛している自信はあるんだよ。それだけは断言できるんだ。君が生きていて、息をしていてくれるだけでうれしいんだよ。それ以上は何も望まない。
同時に、幼い君につらい思いをさせてしまい、本当に申し訳ない事をしたと思う。いつか会える時があったらお詫びをしたいんだ。
君と逢えなくなったあの頃、何もかも投げ出したい気持ちを支えてくれたのは脳裏に浮かぶ君の笑顔と声。いつか逢いに来てくれた時に恥ずかしい姿を見せられない、と思い始めた時に一筋の光が見えたような気がしたんだ。
今のパパを見て君がどう思うか不安ではあるけれども、恥ずかしくない姿であり続けたい気持ちは変わらないし、今でも君に見られている緊張感は持ち続けている。
君と会えない状態のまま、時の流れていくのは残酷であるが、どんなに過酷な事実も忘却によって癒してくれるのも事実。あの頃の生身を割かれるかのような痛みが今でもあの時の痛さのままだったら、さすがに耐えられないよ。
十数年という時を経て、今はずいぶん穏やかに君を待ち続ける事が出来るようになった。会いに来てくれなんて言えないけれども、生きているうちに会える事ができたら本当にうれしく思う。
いつしか来るであろうその日を楽しみに、また明日からの一日一日を過ごしていくよ。
今年のメッセージはここまでにします。
君も体に気を付けて、若者らしくのびのびと過ごして欲しいな。困ったことがあったらいつでも訪ねておいで。
最愛の君へ。