公民館で開かれているフリーマーケットに出かけていった。大きい場所なのか端から端まで歩くのに結構時間がかかった。
入った方はごく普通のよくあるノミの市の雰囲気で、売っているものも今すぐ欲しい、というものもなかったから、
そのまま奥まで歩いて行ってやけにエンジン音がうるさいと思ったら、出口近くに車庫があって、変わった車の試乗会をやっている。
小型のスポーツカーとか、どう見ても軽自動車だが白ナンバーの車に誰かが一人で乗って、
それだけで車がギチギチになって空間に余裕のない程に狭い車とか、
別な方向から「いやーあの車はないわ」とか聞こえたが実際その通りだと思う。私も乗らない。
ついでに小さい車なのにお前はどこかの暴走族か、というほど普通の車が爆音を立てるわけである。
そんなの耳が壊れる。
試乗会の横側にある出口から出て、一緒に来た仲間と合流して、今度は何故か近くの公営住宅の下見に出て行った。
すぐ近くなので試乗会のエンジン音を聞かされながら、同行者が「ここは絶対に下見、中に入って実情を見てから選ぶべき」というので、
どう見ても築五十年くらいはある平屋というか長屋の延々と並んでいる様子を見ながら、
下見する物件に辿り着いたが、まわりの家も今にも朽ち果てそうなものである。
周りにはずっと同じような長屋しかないのが侘しさを加速させる。草もぼうぼうに伸びきっている。
隣の家の人がいるが、何かしているがよく分からないし、着いたは着いたので前もって同行者が持っている鍵でロックを外して中に入ると、
案の定床の木材が朽ちていたり、壁は壁紙などなく木目が露出しているし、天井の照明もいかにも年代を感じさせる仕様だった。
で、まだフリーマーケットのエンジン音は高らかと鳴り響いている。
「もはや奥を見るまでもない」と思った瞬間、近くから多分子供がエンジン音に反応したのかエンジン音のように泣き叫びはじめて、
この辺そんな若い世代がいるのか、と思ったがそんな気配はないので「心霊物件じゃん」と一斉に外に出て行った。
怖いのでそのまま解散した。