なんか夢の中でもうすぐ死にますよあなた、と医者らしき人に言われた。
あまりにいきなり明日か明後日かに死にますとか言われたので身辺を整理するゆとりもなく、
家族に医者から言われたことをそのまま伝え、なんか少しずつ具合が悪くなっていくのを察したので、
いつ死んでも近くのスタッフがなんとかしてくれるような施設に急遽入った。
そこから度々具合がもっと悪くなったり意識が遠のいたりしたが、なかなか死ねず、
余命宣告された時間も何か勝手に過ぎ去って行き、でも倒れたり時折意識自体は失いかけるので、
ほぼ完璧に死ぬ死ぬ詐欺のような状況になりながら普通に寝たり起きたり泣いたり笑ったりした。
その内ある時身体があまり動かなくなりいよいよかと思ったらそのままストレッチャーに乗せられて本当に死ぬのかと思ったら、
なにをどうしたのか合唱のコンクールにまで運ばれていった。
客席で曲を聴きながらお迎えされるのだろうか、と思ったら行き先が演奏会場のステージの上だった。
なんか目の前に課題曲の楽譜が映されて演奏が始まったので歌いながら死ねということなのだろう。
そして意識が続く限りフルパワーで歌ったがなかなか死なない。
オペラでこれから台本上これから病で死ぬ人がフルパワーで数十分歌い続ける程度には理不尽である。
(だから私はオペラが嫌いなんだ)
結局そう簡単に死なないので周囲の人もなんか諦めたような感じになり、一回寝て、
朝起きて歩いて階段を降りて食堂に向かい、今日の朝食代をピンピンしながら支払ってきた。
しかし朝食が1200円とか高くね。今のインフレの時代ならまあそんなものか。