それなりに生きてくると、親の恩というか、言葉では表しきれない愛情を受けているのだと感じる。
そして自分はこの体たらくである。とても親の恩に報いるとかお返しのできるような立場ではない。
というような狭苦しさを日々感じる環境で生きていると家出したくなる。
ちゃんと働いて、仕送りをしたり、何らかの記念日があれば相応のプレゼントをしたり、何かを振る舞ったり、やれるものならやりたい。
現状単純にお金的に考えてもとても無理なものは無理だし(そもそも自分だけできつい)、
障害者の作業所に通っている時点でもうお察しくださいな状況だから、簡単にどうにかできるものでもない。
ノリと勢いで旅行とか料理とかそう簡単にプレゼントできる状況ではない。
つまり何もできない。出来ないどころか負債みたいに家に居座っているととても居心地が悪い。
かといって家から出られる収入も何もない。出た先で生活保護を申請して親に連絡が入るのが関の山である。
小さい頃は他人の気持ちがわからない空気の読めない人間だったが、大人になっても大体同じで人の間での自分の身の振り方がわからなくなったり、
出来ることがあまりに少な過ぎると、とても申し訳ない気持ちになる。
そしてそんな気持ちを三百六十五日繰り返さねばならないのである。息苦しくもなってくる。
こんなにバツが悪いのに、私は私のことで精一杯であり、他人に気をかける余裕もない。もし余裕があったとしても微妙に違う方向に注ぐだろう。
生きているだけで丸儲けなんてとても言えない。
借りたものはちゃんと返すべきだとは思っているが現実に何も返せないので、
なんか霧とか霞とかになれないだろうか、などと意味不明な事を思いながらすごしている。
時々親と縁を切った方がいいのではないかとも思うのである。親が嫌いなわけでは全くない。本当に両親の恩に報いる方法がなさすぎるので。
こんなに自分の精神的に負担なのだったらいない方がいいのではないか、思い煩う存在の無い方がいいのではないか、などと考え、
いつも通り山に籠ることはできないのか、合理的に出家する方法はないのか、と譫言を言う。
誠に遺憾である。