自分のようにわざとらしい感情を見ると心身共に具合の悪くなる人間には、
過剰な心理描写をこれでもかと映すドラマを見ることは不可能に近い。
「二時間ドラマなんて犯人とトリックさえ解れば良いんだよ!!」とか平気で言う。
こういう人間なので、刑事コロンボとか古畑任三郎とか、
最初から犯人とトリックを明らかにして、それをどう追求していくか、というのを見ていた方がいい。
誰がどういう感情を持ったか、というのは事件の真相からすれば二の次、
無くても困らないものである。
そんな心理状態で生活しているので、もっと事件が起こらないのに、
もっと心理的描写がえげつない昼メロの類は、偶然目にするのも避けたい。
病院の待合室とか、床屋の椅子に座っているとき、どうしてもそこを離れられないときに
そういったえげつないものを見せられると、精神安定剤が必要なレベルにまで追い込まれる。
繊細すぎる、と言われるかもしれないが、現実に心理状態に深刻な影響を起こしているものを、
どうにも出来ないというのは非常にもどかしく、そして説明しても解ってもらえないのが辛い。
同じ障碍を抱えた人とかに話すと納得して頂けるんですけどね。
というわけで実家では基本的にドラマを映すとテレビの映らないところに逃げる。
手段は選ばない。
そして自室で音楽をかけて、声を遮断する。
残酷なのは、現実だけで充分である。これ以上の追い打ちを喰らってたまるか。
あと、ドラマとは関係ないけれど、外食をしているときにえげつない人の批判とか噂話が
近くの席から聞こえてきても精神的にまずい状況に陥る。
そもそも心の機能の発達が他の人からすれば十分ではない状態で、
深い心理描写を見せられても、それは本当に「どうしてこうなるの?」とか「意味がわからない」とか
不快になり、本当に理解しがたい醜聞を見せつけられるようなものだと思う。
だからこそ、自閉症スペクトラムの人には、何が何でも一人でいる環境というものが必要なのである、
と敢えて力説したい。ついたてとか生ぬるいものではなく、完全に遮断できる壁のようなものが。