生コン工場のマニュアル(社内規格及び手順書類)を今一度見直そうというシリーズです。
今回は、「配合設計基準⑤」です。
「配合設計基準⑤」
「配合設計基準」は、
JISA5308の規定を満足する製品を
設計するための基準になります。
設計の手順としては、次が考えられます。
- 設計開発のインプット
- 設計開発の計画
- 設計開発の実施
- 設計開発からのアウトプット
このように流れると思います。
3.設計開発の実施
手順としては、次のようになります。
- 原材料の品質確認
- 原材料の品質基準決定
- 呼び強度の範囲を決定
- セメントの種類ごとに実験W/Cの範囲を仮定
- スランプ又はスランプフローの範囲を決定
- 単位水量と粗骨材かさ容積を仮定
- 化学混和剤の標準使用率を仮定
- 仮定した配合で室内試験練り
- 室内試験練りの結果から仮定値を確定値にする
- 仮定の標準偏差、変動係数から標準配合表作成
- 実機練りにおいて実積確認
- 標準偏差及び変動係数の決定
- 正式な標準配合表作成
(10)仮定の標準偏差、変動係数から標準配合表作成
標準偏差や変動係数は、
工場の製造実績により決定するものです。
実績がない場合は、
仮の標準偏差は、呼び強度の0.1倍、
仮の変動係数は、10%~8%程度
が目安になります。
目標強度の算定は、
建築と土木で算定式が異なります。
建築はJASS5建築工事標準仕様書、
土木はコンクリート標準示方書によります。
それぞれ建築は標準偏差、土木は変動係数を用いて、
JISA5308の強度の規定にある、
1回の試験結果は呼び強度の85%以上、
3回の試験結果の平均は呼び強度以上を
満足するように目標強度を定めます。
2023年制定コンクリート標準示方書では、
従来の計算式ではなく、生産者危険という
要素を取り入れて、目標強度を算定するようになりました。
その結果、配合設計時においては、
3回の試験結果に対して、
変動係数は10%、
生産者危険を10%として算定して
割増し係数を「1.34」とする。
となっています。
(詳細な計算は、標準示方書を確認して下さい)
従来は、標準偏差を用いた目標強度
呼び強度+標準偏差×2 の結果を
用いて決定することが多いと思いますが、
今回の割増し係数1.34を採用すると
今までの配合目標強度が変更されることになります。
このように仮の目標強度を決定して、
室内試験で決定したC/W-強度一次式、
単位水量表、粗骨材かさ容積表を用いて
仮の標準配合表を作成します。
(11)実機練りにおいて実積確認
作成した標準配合表による配合を
実機練りで製造します。
JISで新規認証取得申請する場合は、
6か月の生産実績が必要となります。
各呼び強度でn=30程度の製造を行い、
スランプ、空気量、強度、塩化物量を確認し、
データをまとめます。
(12)標準偏差及び変動係数の決定
実機練りのまとめたデータから
標準偏差及び変動係数を決定します。
(13)正式な標準配合表作成
工場の実積、標準偏差及び変動係数から
正式な標準配合を作成します。
ここまで配合設計はできました。
4.配合設計からのアウトプット
工場としては、配合設計の資料を
整備する必要があります。
- 標準配合表
- 配合設計の基礎となる資料(今回の過程と結果)
- アルカリシリカ反応抑制対策の方法、基礎となる資料(アルカリ総量計算結果)
- 微粒分量の範囲を決定する根拠となる資料(骨材製造業者との取決め)
- スラッジ水濃度管理に基づく目標スラッジ固形分率の根拠となる資料(スラッジ固形分率による配合の確認記録)
- スランプフロー配合が材料分離しない配合であることを確認した資料(スランプフロー許容範囲最大値における状態の確認記録)
次回は、「配合変更修正基準」です。
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