調布にある神代植物公園。首都圏のお気に入りスポットの一つ。地元の横須賀からは都心に行くのとあまり変わらない距離。渋滞が無いのでむしろ快適です。
今回のお目当ては今の季節が見頃な薔薇。広大な敷地を薔薇園に向かいます。
薔薇エリアの入り口にも素敵な薔薇のアーチ。その中は品評会に出展している薔薇の新種だそうです。
私がイメージしている豪華な薔薇はこんな感じです。棘があるのは嫌だけれど、とても良い香りです。
オルレアンローズ(フランス)
ベビーバッカラ(フランス)。ベルサイユの薔薇とか言うように、フランス人は薔薇が好きみたいです。フランス人が作った品種が多く感じました。
エリドゥーバビロン(オランダ)
名前を記憶していませんが、ブーケみたいにまとまって咲くタイプ。ブーケみたいで可愛いと言う人もいましたが、自分は窮屈そうで可哀想に感じました。
緑光と大温室。完全な偏見でしょうが、漢字名「緑光」だと薔薇っぽくない気がしました。その反対に桜をチェリーと言われると、お菓子や飲み物を想像してしまいますので、言葉の持つ影響力を実感します。
そう言えば園内には桜の巨木&古木が多数ありました。花見の季節に来た事はありませんが、凄い迫力である事が想像出来ます。是非桜の季節に来ようと思います。
紅孔雀。昔、こういう名前のレディース(女性だけの暴走族)がいたなあ。
ジーナロロブリジダ(フランス)。大好きなイタリア人女優さんの名前。
グロリア・ムンディ(オランダ)
斜面に咲き誇るアルバ・メイディランド(フランス)。その斜面の上が薔薇園を見渡せる休憩場になっています。左右対称の構造。後ろは広葉樹林の森。
薔薇園テラスの向かい側には噴水があり、その向こうの平べったい建物は大温室。まだツツジが咲いていました。
しかし、噴水内はなぜか立ち入り禁止。ピーカンの夏日に子供なら水遊びがしたいでしょうに、ケチな規制だなあ。最近か保護的な規制な多すぎる。「怪我や事故は、当方の設備に不備が認められない限り、自己責任でお願い致します。お子様の場合は同伴する大人の監督責任で自由に遊ばせてあげてください」のような掲示を出しておけば良いのです。リスクというものは子供も大人も自分で学ぶべき。なんでも責任転嫁する体質は無責任な社会を作ってしまいます。こんな当たり前のことすら考えられずに、何でも訴訟にするバカ大国の悪い習慣を真似する必要はありませんよ。
花ではないけれど、この斜面の美しいカットが好き。理容師の刈り上げのテクニックにも似た感動を覚えます。
オルレアンローズ(フランス)
モーツアルト(ドイツ)
ミラベラ(アメリカ)
よろこび(日本)
小さな薔薇のアーチ。個人的には薔薇園の中で一番好きな展示でした。イチゴとホワイトチョコのお菓子にこんな形状のがあった気がします。その隣はこれまで入賞した新種コーナー。この薔薇園は美しい庭園を造ると言うコンセプトではなくて、薔薇の品種を展示して楽しむという意図で公開されている気がしました。そこが花好きを狙った薔薇園と植物園の違いなのかもしれません。
しかし、私のような素人は違う品種が隣り合わせに並んでいるよりも、全体的な色や雰囲気で植えられている方が美しく感じます。例えるならば、同じような色彩の石造りの家々が立ち並んでいるヨーロッパの古い町並みには統一感と風景としての素晴らしさがあります。それに対して、自己主張をするあまり、色とりどりで、ごちゃごちゃと密集した日本の新しい街並みは美しく感じないんですよね。
薔薇を鑑賞中に綺麗な鐘の音が聴こえていたのですが、その正体はこれ。一時間ごとに鐘を鳴らすモニュメントはピカピカに磨かれていました。この背後が大温室になっています。
お昼がまだなので、食べに行こうとしましたが、お店の方向が真逆で距離もかなりあります。また戻って来るのは時間のロスになるので、我慢して温室に入場。とっとと見たら、美味しいお蕎麦でも食べに行こうと思っていましたが、入口からいきなり変てこな植物が登場して、気をとられ、空腹を忘れてしまいました。
レモンフラミンゴというそうです。ハイビスカスの一種です。
その下には沖縄にもあるクルクマ・ルベスケンス。東南アジア原産の生姜、ウコンの兄弟だそうです。アラビア語でウコンのことをクルクマというそうでした。
これはブラジル原産のメディニラ(火の鳥)。美しいとは言い難い色と形。子供の頃からその辺の草木を片っ端から味見していた私ですが、こいつに遭遇したらちょっとためらいますね。まずは、身を潰してその辺の蟻んこにかけてみて、死なないことを確認してから味見をすると思います。
入口を入ると眼の間に広がる広大なガラスの空間。ジブリアニメ「ハウルの動く城」の宮殿にあった大温室を思い出しました。大好きなビオトープもあるではありませんか!これを見て完全に空腹は忘れました。
その先にはまたもや奇怪な植物。先ほどの赤いのと同種です。メディニラ・マグネフィカ。どちらもアマゾン原産だそうですが、あの辺の動植物は日本人の概念を越えていますね。やはり地球の真裏とは大違いだなあ。民族や文化の違いは自然や気候の違いから生まれるものでもあると思います。凄いカルチャーショックです。
傘のように広がった巨大な木の下には実らしきものが生っています。
パパイヤでした。食べるばかりで生っている姿は初めて見ました。ここのパパイヤはスタッフたちで食べるのだろうか?こういう木の実を採る時に、登れない場合は、下から物を投げて落とします。
タマリンド。ガラスの天井から降り注ぐ陽射しで透き通る熱帯植物の葉が美しい。
ヘゴの樹。シダが樹になった種類。恐竜の時代を彷彿とさせる植物だと思います。重なり合った葉は自然の作り出すステンドグラスです。下にも貴重な植物がたくさんあるのに、上ばかり見てしまいました。
下にも黄色い木の実を発見しましたが、これはカカオマスの樹。チョコレートの原材料です。こんなに美味しいものが樹の上に豊富にあれば、人間はずっと猿のままだったかもしれませんね。樹から降りてくる必要がありません。
最近の研究では気候変動により、樹から降りて食べ物を探さなければならなくなり、二足歩行を覚えたとされていますが、納得です。
大温室の出口には嘘みたいな色をした奇怪な植物。一見すると形が特殊な藤の花にも見えましたが、渋谷辺りにいるヤンキーがスプレーで落書きをしたと言うか、ジーンズと一緒に洗濯して染まってしまったと言うか、ちょっと不自然な色に感じました。ヒスイカズラというそうです。フィリピン原産で、大コウモリによる受粉で繁殖するそうでした。しかし、片仮名表記でしたが、漢字にすれば翡翠色をした蔓(カズラ・つる草のこと)ですから、もろ日本語です。これはダメでしょ!迫力に欠けますよ。先ほど見たアマゾンのピンク色のやつはメディニラという見た目相応の名前だったのですから、こちらももう少し迫力のある名前にして欲しいなあ。
その先は蘭コーナー。蘭マニアは多いそうですが、飲食店やイベントの会場などでよく見るので、余り関心が無い。と言ったら失礼かもしれませんけどね。
実際に蘭の種類と形状は多岐にわたり、それがマニアになる理由だとも言われています。しかし、自然派の私の感性では、鑑賞用に作られた蘭は葉の面積と茎の太さに対して花がデカ過ぎてアンバランスなイメージがあるのです。細腕の可愛い女の人が両手に大量の荷物を持って立っているみたいに感じます。。
その次はベコニアコーナー。これは蘭よりもさらに関心が無い植物。なぜならその形状がやはり気に入らない。
よく絵が下手くそな人や子供が花を描くと、ド派手な色の花を上部に描いてから、その下にとんでもなく太くてアンバランスな茎と小さすぎたり大きすぎる葉っぱを描きます。茎だって曲がっていることもあるわけですが、細かく観察せずに、大体は垂直に描きます。葉っぱの葉脈だって、魚の背骨みたいに適当に筋を入れて終わりです。そんな単純で恰好の悪い姿をしているはずがないのだから、もっとバランスを考えて、よく見て描け!と言いたくなります。
ところが、その下手くそな絵をそのまま実物にしたみたいなのがベコニアなのです。ベコニアのファンの方には失礼ですが、大変にふざけた造形だと思います(笑)
粘土細工や陶芸で花を造形する場合もこうなる。それは材料が軟らかいので、中に割り箸などの芯でも入れない限り強度不足で、本物の草花の様に茎を細くすることができないのです。
と考えて気付いたのは、ベコニアの繊維はきっと他の植物に比べて軟らかいのではないかと思いました。軟らかいくせに大きな花や葉っぱをつけたがるので、無理をした造形になっているのではないでしょうかね。
次は大好きな睡蓮コーナー。しかし、見頃はまだ先でした。しかも植え替えたばかりなので、花は小ぶり。ちょっと残念。葉っぱの上にカエルでもいてくれたら最高なのですが、そう言えば、温室に動物や魚類は見たことが無いです。ビオトープにもイモリやカエル、亀などがいたらもっと楽しいのになあ。
その脇には「星の王子様」に出て来るバオバブの樹に雰囲気が似ている巨大な柱のような植物。
バオバブの樹はイタリア人植物学者の命名。数千年生きると言われ、「星の王子様」では地球を滅ぼす樹だとして登場します。幹が太く、上の方に小さな枝が密集します。温室のものは形状は似ていますが、大コンニャクだそうです。何人分のコンニャクを作れるのでしょうか?
その先は乾燥地帯に生える植物コーナー。
コップを洗うブラシみたいなサボテンがありました。メロカクタス・オレアス。和名は「青乱雲」という名前だそうでした。しかし、漢字のイメージが結びつきません。植物名もそうですが、映画の原題と日本語の邦題がズレていることもよくあると思います。つい先日も「空海」という邦題に惹かれて観に行ったら、内容は化け猫退治のフィクション。原題は「化け猫物語」でした。あれは腹が立ちましたね。
マラミリア。水の中にあればイソギンチャクやサンゴにも見えます。
こては乾燥地なのに海にいるはずのアザラシという名前でした。
温室の出口付近には虫を捕獲して食べるウツボカズラがありました。先程ヒスイカズラは迫力がない名前だと言いましたが、このウツボカズラは似合っていると思います。と言うのは、ウツボカズラと言う響きは妖怪っぽいので、食虫植物にはぴったりだと感じるのです。日本の伝統的なお化けの名前は音が5文字から7文字くらいが多いと思います。ゲゲゲの鬼太郎に登場する妖怪たちを思い浮かべると、海坊主、ろくろ首、傘お化け、一反木綿、ネコ娘、ぬらりひょん、こなきジジイ、ねずみ男・・・など。
試しに中を覗いてみたら本当に虫が食べられていました。まだ消化の途中です。美味しそうな匂いを出す液が下の部分にあり、それにつられて虫が中に入ります。内壁には下に向かって細かい繊毛が生えているので、中に入ると上れない構造になっています。誰がこういうことを教えたのでしょうかね?万物の創造主は本当に面白い。
温室を出たら急激にお腹が減って来たので食事のできる場所を探します。この植物園は江戸時代からお蕎麦が有名な深大寺の寺領の一部でしたので、周辺には深大寺蕎麦を提供するお店が多数あるのです。
実は、ここに来た目的は薔薇の鑑賞以外にお蕎麦でもあったのです。ですから、入場する前に、蕎麦を食べて再入場することも可能な事を窓口でしっかり確認しておきました。
お蕎麦屋さんに行くためには深大寺門から出る必要があります。そこまでの小路は素晴らしい広葉樹の森でした。それなりの距離はありますが、歩くことが全く苦にならないほど気持ちがいいのです。
外に出ると、涼しげな木陰に雰囲気のあるお蕎麦屋さんを発見。ここは深大寺側から見ると境内の裏手に当たります。何度も前は通っていましたが店に入った事はありませんでした。いつもは境内の下を流れる渓流沿いのお蕎麦屋さんばかりに行っていたのですが、あらためて見ると、こちらの方が佇まいは素敵でした。
二店舗が隣接していますが、どちらもその場で手打ちです。昔は深大寺でも蕎麦を栽培していましたが、今はほとんどが北海道などの外地からのそば粉を使用しているそうです。
今回は露天の店舗の方に入りました。席の頭上には新緑の木々が見えて、とても綺麗でした。空腹を我慢して参観していたために、すでにおやつの時間も過ぎていましたから、食事をする人はほとんど無し。
人が少なかったので、忙しい時には作れないと言う、豪華なお蕎麦をいただくことができました。お蕎麦のほかにおでんなどもあります。
せっかくなので深大寺にもご挨拶。いつもとは逆コースになるので、斜面を下ります。こちらの開基は奈良時代ですから、とても古いお寺です。
本尊の阿弥陀三尊像は国宝に指定されています。現在は天台宗の寺院ですが、元々は西遊記で三蔵法師を孫悟空と共に守った沙悟浄(深沙大王)に由来して深大寺となったそうです。深沙大王は水の神様でもあります。
それほど、水に恵まれている地であることは、周囲の自然を見れば良くわかります。
澄んだ湧水が豊富にあります。水は命の源ですから、この辺には古代より人々が暮らしていた遺跡も多数点在しています。多摩川を見下ろす城郭もありました。
透き通った池を水鳥が泳いでいる様子を見ていると、都心からほど近い場所だとは思えません。
また、こちらの隠れた名所はゲゲゲの鬼太郎茶屋。作者の故水木しげるさんも晩年は市内にお住まいだったのです。
茶屋の脇にある鬼太郎一家の住むツリーハウスも美しい緑に囲まれていました。
そう言えば、私は台湾で水木氏の個展をお手伝いするはずでしたが、実現できなくなってしまったことを思い出しました。本当に残念です。
この周辺には植木屋さんも数店あり、荷物が積める車の時には毎回何か買っています。前回は苔玉を二つ。今回は気になっていたウツボカズラを買ってしまいました。その他のお土産にはあまり関心が無いので、植物園に戻ります。
自然林の先には芝生広場があり、その横の丘を越えると正門に戻ることができます。
ヘメロクルスの群生。
その途中にもさまざまな草花が目を楽しませてくれます。木陰には休めるベンチも設置されていましたが、やぶ蚊が多そうなので遠慮しました。これからの季節は増えると思います。
上を見るとヤマボウシが満開でした。下から見上げると葉が重なっているようにしか見えませんが、上には真っ白な花が隙間なく折り重なっているのです。秋には実が生り、甘いので果実酒にも適しているそうです。
園内には至る所に古そうな広葉樹が点在しています。自然のままでは、下草も繁茂するので歩くことはできないはずですが、適度に草刈りがなされているので、とても快適に原生林の雰囲気を味合うことができます。
広葉樹がうっそうと茂る足元にピンク色の花が群生していました。カタバミです。葉を噛むと酸っぱいのが特徴。どこにでも生える生命力の強い雑草ですが、これだけ群生して花を咲かせると見事。大体が三つ葉ですが、時々四つ葉のものもあります。これを「四つ葉のクローバー」と混同する人が多いのですが(私もそうでした)、違う植物です。
私の愛車にも使用される四つ葉のクローバー(クアドリフォリオ)は幸運と厄除けの意味が有ります。これを最初にレースカーにつけて優勝したレーサー(1923年ウーゴ・シヴォッチ)が、奇なることにその後でマークをつけなかった車でレースに出場して落命したことから、同メーカーではさらに信仰が深まりました。この時代に同社のテストドライバーとして入社したのが後の自動車メーカーであるフェラーリを創業したエンツォ・フェラーリです。元々はレーサー志望でしたが、自分の才能に見切りをつけて、販売代理店を経て自社ブランドを作ったのです。
日本では欧州から輸入されたガラス製品の破損防止のために詰め物としてクローバーが使用されていたので「詰め草」と呼ばれるようになりました。カタバミほどハート形のえぐれ部分がありません。クローバーに於いては、遺伝的に四つ葉はとても珍しい変異であるために、その希少性から珍重されるようになったのです。
しかし、北欧ではカタバミもクローバーも同じ仲間として呼ぶことが多いそうです。日本では葉の形状が車輪のようなので同様にシャジクソウ(車軸草)とも呼びますし、アイルランドではシャムロックと呼ばれ、国花です。しかし、共通するのは三枚葉であること。それはキリスト教の三位一体(父なる神、子なる神、聖霊なる神)の象徴でもあるからです。そして、四つ葉のカタバミは四つ葉のクローバーに比べてそれほど珍しくないそうなのです。ですから、幸運やお守りとしての意味では「四つ葉のクローバー」にこだわるのです。
丘を越えていると小川らしきものがあるのでそちらへ向かうと、やぶ蚊の襲撃を受けそうな気配がしたので、迂回して避けました。すると大きな池を発見。睡蓮が一面を覆っていました。
睡蓮や蓮は澄み切った水だけでは生育できず、栄養のある泥を必要としますから、この池は黒く濁っていました。水面下を泳ぐ鯉も黒っぽい物ばかりです。
陽が延びているので、閉園時間でもまだ十分な明るさがありました。園内ではツツジの盆栽展も開催されていました。
自然のままの原生林も素晴らしいですが、小宇宙を創りだす盆栽の世界も違う趣がありますね。日本では年寄りの趣味などと過小評価されていますが、それは知識不足。世界的に日本の盆栽文化は認められているのです。西洋の王族の大庭園と比較すれば、その物理的な差は大きいのですが、精神世界の奥深さは引けを取らないのですよ。























































































































































































