YOUTUBEでアート系の動画を見ているうちに面白いアニメをみつけた。
なんと、あのウォルト・ディズニー・プロが作ったサルヴァドール・ダリのアニメーションなのである。
タイトルは「Destino」、スペイン語で「運命」という意味だそうである。
1946年に、ウォルト・ディズニーの兄であるロイ・ディズニーがダリと共同でアニメ制作を企画した。
だがその時は、18秒間のテスト映像が作られただけで本格的なアニメ制作にはいたらなかった。
それから歳月がながれ、ウォルト・ディズニーの甥にあたるロイ・エドワード・ディズニー がテスト映像だけで終わってしまったアニメを完成させようとプロジェクトを立ち上げ、25人のディズニーのアーティストによる手書きアニメとコンピューターCGを使って、残っている資料などを参考にして、2003年に完成させた。この中には、1946年当時に作られた18秒間のテスト映像も組み込まれているのだそうである。
とはいえ全体で7分たらずのショートアニメーションである。プライヴェートフィルムに近いものなのだろうか。
だがなぜ、サルヴァドール・ダリなのか。
もともとディズニーには、「ファンタジア」などに見られるように、潜在的に芸術志向があったようである。「禿山の一夜」「アヴェ・マリア」「胡桃割り人形」といった作品には、そうした傾向が顕著だった。ミッキーが面白おかしく活躍するだけでない、アートなアニメを作りたい。そこで当時世界的に注目を浴びていたダリに目をつけたのかもしれない。
だが「ファンタジア」が芸術的に成功しているかといえば、必ずしもそうではないように、この「Destino」という作品も成功作とは言いがたい。
ハッキリしたストーリーといったものはなく、ダリ的な風景のなかを、若い女性がさまようといった内容だ。
もともとディズニー的世界とダリの世界とは、水と火のような関係だと思う。そうした対立がうまく乗り越えられれば、逆に新しい世界が生まれる可能性もあった。
だが可能性は可能性のまま終わってしまった。
興味がある人はYOUTUBEなどでチェックしてみてください。