夢日記 「眠り姫」
最近連絡のとれなくなった友人がいる。
フィギアマニアで、彼の部屋はおびただしいフィギアで埋め尽くされていた。
フィギア紹介のブログをやっていて、以前は毎日更新されていたのに、ここ一週間ほどストップしている。
ケータイにかけてもつながらない。
共通の友人たちもつながらないという。
さすがに不安になって、アパートを訪ねてみることにした。
部屋にいないことも覚悟していたが、
ドアをノックすると、しばらくして顔をだした。
病人のように青白く憔悴した顔をしている。
部屋にはおびただしい数のフィギアがあった筈なのに、きれいさっぱりなくなっていた。
どうしたのだと聞くと、全部売ってしまったのだと言う。
レアなフィギアも多かったので、たぶん何十万にもなったはずだ。
あれを手に入れるために売り払ったんだといって、となりの部屋を目で示した。
ベッドの上にほぼ等身大の美少女フィギアが横たわっていた。
ネットで知り合った相手から買ったのだという。
ベッドのそばに寄って観察すると、
実によくできたフィギアで、まるで生きていて、眠っているように見える。
寝息さえ聞こえてきそうであった。
よくできてるな、生きているみたいじゃないかというと、
「生きているさ。彼女は生きているんだ。もうすぐ目をさますんだ。そばにいて、その時をずっと待っているんだ」
と友達が思いつめた口調でいった。
人形を見つめる彼の目は、悲しい狂気をたたえていた。