■夢日記 「みかん」
大学時代。上京してアパート暮らしをしている。
大学が冬休みになったので、ひさしぶりに帰省する。四ヶ月ぶりだ。
本当は帰ろうと思えばいつだって帰れるのだが、両親には勉強が忙しいからと嘘をついている。
親子水入らずでこたつを囲む。
妹がいない。歯医者に行っているのだと言う。
こたつの上のお茶菓子入れにみかんが7,8個入っている。
1個取って皮をむいて食べると味がおかしい。
「このみかん腐ってる」
というと、母親が食べて、
「別に腐っていない」
という。
さらに父親もおいしそうにみかんを食べはじめる。
そのうち妹が帰ってきた。
やっと歯がなおったと言って、ニッとしてみせる。
ズラッと銀歯が並んでいる。歯が全部銀歯になっている。
今どき銀歯なんか入れる人はいないだろうにと強い違和感を感じる。
それにひどく悪趣味だ。年寄りならともかく、まだ高校生なのに…。
だが父と母と妹は喜んでいる。その時はじめて、父と母も歯をすべて銀歯にしていることに気がついた。
ぼくは何も言えず、黙々と腐ったみかんを食べ続ける。