冬の日だまりの中にあったかな景色がある
ベンチに赤いセーターとベレー姿の年配の人が
文庫本を広げている
風もなく、暖かな日差し
写真を撮るでもなく、昼寝をするわけでもない
ただ時代小説の主人公を追いかけて読んでいる私
ええなぁ、そんな時間を過ごしたい
枯葉の積もる外れに緑の葉っぱに赤い実が見える
足元に見つけた藪柑子(やぶこうじ)
サクラソウ科の常緑低木の木本
背の丈10~20㎝くらい
草でなくて木の仲間になるんだ
別名を十両(じゅうりょう)とか山橘(やまたちばな)ともいう
庭に万両、千両などが使われるが、それらと同じような赤い実をつける
実は可愛いのだが、背も低いし葉の下に実を付け あまり目立たない
そこで呼ばれるようになったのが十両の別名
ちょっとかわいそうな気もする
しかしながら万葉の時代から歌の中に登場する。
万葉集の中に大伴の家持(やかもち)さんが歌う
彼の歌は万葉集の中の一割にもなるんだって
そのうちの幾つかにこれが登場するらしい
万葉集は家持さんが選集した歌集ともいわれる
万葉集が歌の世界を変えた
そのことから
この5ミリほどの実に万葉文化がギュッと詰まっていると言えよう
凄い実だ
Cobucim