新たな複数の医療事故情報/医療安全の演習授業の準備(医療事故48) | 医療事故や医学部・大学等の事件の分析から、事故の無い医療と適正な研究教育の実現を!金沢大学准教授・小川和宏のブログ

医療事故や医学部・大学等の事件の分析から、事故の無い医療と適正な研究教育の実現を!金沢大学准教授・小川和宏のブログ

医療事故死は年間2万-4万人と推計されており(厚労省資料)交通事故死の約4-8倍です。医療問題やその他の事件が頻発している金沢大学の小川が、医療事故防止と事故調査の適正化や医学部・大学等の諸問題と改善を考えます。メール igakubuziken@yahoo.co.jp(なりすまし注意)

新たな複数の医療事故情報/医療安全の演習授業の準備(医療事故48)

1、新たな複数の医療事故情報


 昨日から今日(7月22日(日)から23日(月))にかけて、新たな医療事故の情報が私に寄せられ、今日はその分析なども行なっていました。

 いずれも重大な結果や経過であり、医療事故防止の重要性を改めて痛感しています。

2、医療安全の演習授業の準備

 3年生が基礎医学や社会医学の研究室に配属になって、1ヶ月少しと短い期間ではありますが、実習や演習を行う授業があります。

 私の薬理学研究室は、一昨年より、学生1名が1テーマを持って、医療事故の分析や薬や食品成分の領域での研究企画などを行ってまとめる形式で進めており、一昨年は4名、昨年は7名が希望して、それぞれ全員を受け入れました。

 学生向けの案内書の研究室ページと昨年度の配属人数をお示しします(文中の原稿締め切り時点の「近く特許になる」は、7月20日に特許になりました(本ブログ前回記事))。



<研究室ページの文字列>

分子情報薬理学分野(薬理学)

(1)研究スタッフ
 准教授(分野主任) 小川和宏

(2)研究の概要と特色
(ア)ヘム代謝調節のメカニズム解明と生体防御機能増強への応用
 ヘムはヘモグロビンなどの構成分子として生命維持に必須だが、過剰になると活性酸素を発生して毒性が強く、ヘムが過剰になるとヘム分解酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の発現が誘導されて、ヘムは速やかに分解されて抗体酸化作用を持つビリルビンが生じる。これは生態防御反応であり、様々な疾患の治療や予防に役立つ。
 我々は、ヘムが転写抑制因子Bach1に直接結合することで、Bach1のDNA結合を阻害して、脱抑制によりヘムが転写誘導することを見いだした。これは高等生物のヘム結合性転写因子の世界初の同定である(論文被引用290回)。また2012年には小川の「ヘムオキシゲナーゼ-1誘導剤」、2014年には小川らの「原虫感染症の治療又は予防薬」で小川が特許権を取得し、2018年6月には小川の「心臓保護薬」が特許査定を受け近く特許になる。
(イ)医療事故の分析による薬物治療の安全性向上
 薬物治療領域での医療事故の分析とその情報発信で、医療の安全性向上に貢献している。

(3)学習目標
 今年度も期間が短いため、実験手技の習得よりデスクワークを中心とするが、本研究室で以前に行っていた英文教科書の単なる輪読ではなく、能動的演習や実践に重点を置く。具体的には、医療事故事案の分析や創薬研究の起案を目指して、配属学生1人1人がテーマを決め、医学文献、特許文献、判決例等の調査などを行い、それらをまとめて発表する。
 こうした過程を通じて、次の(i)〜(iii)を習得することを学習目標とする。
(i)文献調査、分析、まとめ、発表までを経験し、自主的にこれらを行えるようになる。
(ii)薬理学など基礎医学が、診療をはじめ多岐にわたる領域に役立つことを理解する。
(iii)医師など医療者側のみならず患者側の実感も理解し、医療事故防止の視点を養う。


(4)指導方針
 薬物治療領域の医療事故事案(本学や近隣での事案を除く)あるいは創薬研究等から、配属学生と指導教員の話し合いでテーマを選び(原則1人1テーマ)、医学文献、特許文献、判決例等の基本的な調査方法やまとめる方法などを指導し、後半に学生が発表を行う。

(5)学生への要望
 自身のノートパソコン、薬理学図書室や図書館などを利用して、積極的に取り組むこと。

(6)受入れ可能人数
 2〜5名