『バベットの晩餐会(Babettes gæstebu)』(1987)再見 | 時は止まる君は美しい

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巡りあった美しい人達の記憶を重ねます・・・
B面ブログ「扉・鎧戸・宵の口」も始めました。

 

入り込み酔える一作

 

ガブリエル・アクセル監督作品、デンマーク

ステファーヌ・オードラン様、ビルギッテ・フェダースピール様、ボディル・キュア様他

 

 

20世紀のデンマークを代表する女流作家カレン・ブリクセンの

同名小説を映画化した群像劇。

19世紀後半、デンマーク辺境の小さな漁村に質素な生活を送る

初老を迎えたプロテスタントの姉妹がいた。

そこにパリコミューンで家族を失ったフランス人女性バベットがやってくる。

その後、彼女は家政婦として長年姉妹に仕えるが、宝くじで大金を手にいれると、

村人のために晩餐会を開きたいと申し出る。(映画.comより引用)

 

 

 

 

何十年ぶりだろう?というくらい久々に拝見しました。

素晴らしい気持ちになれるの解っていながら、

しょっちゅう見直し続けることもなく、

ふと「あ、今日観ようか」という感じで。

オープニングから映画の中に引き込んでくれる感覚。

ずっと、全編、心地よく拝見。

最後に、皆がそれぞれに幸せなことに、ふわっと涙が。

村というより海辺の集落のような場所。

しんしんと時間が降り積もるような。

刻まれる時の中、それぞれの想いも心に降り積もる。

そして、花のように可憐な姉妹が年老いた日々。

 

 

 

家族も失い亡命してきたバベットが女中として寄り添う。

言葉も覚え食材の値切りも上手くなり、人々に微笑ましく見られるバベット。

そんな彼女が宝くじで大金を得た時、姉妹は別れを覚悟する。

 

 

 

バベットが申し出たのは、姉妹の父の命日、

彼を偲ぶ集会の晩餐を自分にまかせて欲しいという願い。

運ばれてくる食材には海亀まで。食べたら何が起こるのか怖い怖い。

 

 

 

誰もフランス料理なんて知りません。

姉妹の人生に現れた二人の男。

フランスの歌手は、バベットを姉妹の元に送り出した。

 

 

 

そして、晩餐の夜には、今は将軍になっているもう一人の男性が。

 

 

 

彼のテーブルマナーで、皆が助かる。そうやって食べるんだ!

 

 

海亀・・・

 

 

どえらい味や、食べたら死ぬ!?な不安は吹き飛び、師玉の時間に。

 

 

 

 

 

 

老いてぎすぎすしていた皆の気持ちもおおらかに、

手を取り合って歌い出し、幸せが充ちる。

バベットは、フランスでも特別な存在の女性料理長だった。

 

 

一夜の為に宝くじの全額を使い、

自分がしたい料理のコースを完璧に創り上げたバベット。

歴史の中で奪われた生きがいの仕事の一夜だけの再現。

 

 

 

 

 

 

それが至福の時間だったこと、

不器用でもこの仕事をやり通そうと思っていて、

突然、会社がなくなって人生180度角度が変わったみどり、

しみじみ、わかる・・・な年齢になりました。

ラスト、現実につかみ取れなかったものがあっても、

心の幸せは豊かなもの。

 

 

じんわり涙が素直に流れる大好きな一遍。

『ザ・メニュー』のような温かみのない豪華料理は白ける・・・

でも、バベットの晩餐会には包み込んでもらえます。