久々谷崎潤一郎先生ご登場
谷崎潤一郎原作、溝口健二監督作品、日本、89分
田中絹代様、乙羽信子様、堀雄二様、柳永二郎様、
進藤英太郎様、松浦築枝様他
谷崎翁原作って『お遊さま』って知らないなあ・・・
と思ったら、 『蘆刈』が原作でした。
田中絹代様&乙羽信子様を続けて拝見してしまった。
もう、谷崎翁らしい、奴隷にして~的な作品。
でも、原作とはかなり変更されてるかな。
いい家のお坊ちゃん、なかなかお見合いがまとまらない。
今日も、お見合い。どうせ、毎度の結果かと思いきや、
現れたお見合い行列の先頭の女性の、
並外れた存在感、美しさ。「やった!」これで決まりだ!
いやいや、お見合いする娘さんが先頭を歩いてるわけないでしょ。
かくして、未亡人お遊さまに恋い焦がれてしまう。
しかし、そういう流れでは、お遊さまに結婚を申し出ることは出来ない。
それを察している娘は、青年に恋心を抱きつつも、
自分も大好きなお遊さまと青年と共に過ごすために結婚。
「夫婦」にはならず、二人でお遊さまと三人の、
幸福な「お仕えする」日々を送るが・・・
乙羽信子様、前回に続き、かわいらしいです。
それにしても、そうでなくてはこの映画が成り立たない、
お遊さまの、谷崎翁好みの華やかで品と風格ある美しさ。
堪能させて頂きました。
そして消えゆきつつあった日本文化の美しさも。
でも、溝口監督は、こういう妖しい世界より、
どこかに説教臭さがある『雨月物語』『西鶴一代女』が、らしい気が。
谷崎翁に「正しい道を説く」は似合わないもの。
それにしても、この作品での「お遊さま」、
谷崎松子夫人に似てる気がする・・・