2019年12月6日記事
夢魔が見つめる作家たち
ハイファ・アル=マンスール監督作品、アイルランド・ルクセンブルク・アメリカ、121分
エル・ファニング様、メイジー・ウィリアムズ様、ダグラス・ブース様、ベル・パウリー様、
トム・スターリッジ様、スティーヴン・ディレイン様、ベン・ハーディ様他
『ゴシック』『幻の城 バイロンとシェリー』、探して連発で拝見しなきゃ。
その二作共に、詩人バイロン卿とシェリー、バイロン卿の愛人と、
彼女の姉でシェリーの妻、『フランケンシュタイン』の著者メアリー・シェリー、
バイロン卿の主治医であり、同性愛の相手ともいわれる、ポリドリ医師の物語。
スイスでバイロン卿が借りていた屋敷で、悪天候の中、滞在者たちが、
それぞれが一作づつ、怪奇譚を執筆しようというバイロン卿の提案を受ける。
この館が今もあるってのがヨーロッパ。
その後のポリドリ医師は悲惨で、執筆した『吸血鬼』はバイロン卿の作とされ、
失意と困窮の中、26歳で服毒自殺されています。
先に挙げた二作のどちらかでは、
この屋敷で、既に首つりさせられちゃってた気が・・・気の毒過ぎる。
本作ではなんと、『ボヘミアンラプソディー』でロジャー・テイラー様を演じられた、
ベン・ハーディ様が演じられてますね。ふり幅広い英国若手?俳優様。
今回は、原題が示す通り、メアリー・シェリー様がヒロイン。
ゴシックロマン感無し、現実的人生に焦点を当て、
若くしてシェリーと駆け落ちしたメアリーのキャラクター。
駆け落ちに同行する妹のキャラもなかなか強烈。
シェリーを含む、周囲との問題の数々、それを乗り越えた先で、
作家で書店を営む父に言われた、「他人の思想や言葉を振り払え、自分の声を探せ」、
という言葉のままに、自らの傷を『フランケンシュタイン』に昇華させるまでが描かれる。
従って、シェリーもバイロン卿も、「現実はこんなもの」的?、
自らの思いのまま生きる、エゴ丸出しの若さで「美しさ」だけではない。
それでも、その上で語られえる言葉は、それぞれの真実を映し出す。
妻子あるシェリーと妹込みで駆け落ちし、独立した女性となる筈が、
シェリーの不実、経済的破綻、出産、子供の死を経験するメアリー。
破産で、バイロン卿の館へ・・・
妹はこの時バイロン卿の子供を身ごもっているが、
初めから全く愛情はない、養育費は出す、と拒絶される。
バイロン卿の館での滞在から、一年かけて彼女が生み出すのは、
自らを創造した博士に拒絶される、フランケンシュタインの哀しみに充ちた物語。
出版当初、このようなグロテスクな小説の著者が女性作家ではと、
著者は匿名で、序文をシェリーが書くことでようやく日の目を見ることに。
彼の作品のように認識されたが、シェリーの証言もあり、二版で、本名が記される。
自由恋愛でシェリーの元に走ったメアリーの、失望、絶望、不信の末の「後悔していない」境地。
「私の魂には不可解な衝動がある」メアリー・シェリー、という、冒頭のテロップに戻っていく、
メアリー自身の物語も、凍り付くほどの知性を持ちつつ、衝動的。
ただ、『フランケンシュタイン』の発行が1818年3月11日、
メアリー・シェリー様の生没年月日が1797年8月30日~1851年2月1日で、
二十歳そこそこの出版。また、映画とは違い、
お子さんを亡くされてはいらっしゃるけど、ご出産もされてらして、
執筆時、生後間もない赤ちゃんの育児中ですねえ。
当時の年齢は、今より大人とされると思いますが、
やはり、若い突っ走りあっての生活であり、創作だったと思います。
その点、映画に深みといったものが欠けるのは仕方ないかな。
これはこれで、懐かしいような情熱を感じるわ。
「作品」としては、いっそ思い切って耽美に走っり切った?
冒頭に挙げた二作が、面白くはあるかも。
それぞれ、ガブリエル・バーン様、ヒュー・グラント様がバイロン卿を演じておられます。
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