「Le passé」(2013)アメリカからヨーロッパへ渡ると・・・ | 時は止まる君は美しい

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巡りあった美しい人達の記憶を重ねます・・・
B面ブログ「扉・鎧戸・宵の口」も始めました。

 

ニュアンスの魅力・・・こりゃ、きっつい!

 

アスガー・ファルハディ監督作品。「ある過去の行方」(フランス)130分

 

 

ベレニス・ベジョ様、タハール・ラヒム様、アリ・モッサファ様、ポリーヌ・ビュルレ様他

 

 

 

 

4年前に別れたものの、離婚はしていなかった、現在テヘランに住むアルマドは、

再婚の為に正式な離婚を、という、マリーの希望で、パリに戻って来る。

空港で彼を出迎えるマリーの表情は、明るさが見えた気がします。

 
 

 

 

再会を心待ちにしていたのでは?

 

 

 

 

無事、再会できた二人は、マリーがホテルを予約していなかった為、

既に、再婚の予定のサミールとその息子も同居しているに。

 

 

冒頭以降、マリーの表情は常に険しいし、ヒステリック

 

 

 

すっきり離婚。既に相手の子供を妊娠しているW不倫の相手とゴールイン出来るのに。

常にどことなく暗いのリュシーとの間もぎすぎすしている。

リュシーは、父に、母がサミールに惹かれたのは、アルマドに似ているからだと言う。

 

 

 

そんなアルマドが、離婚の為の短期滞在とはいえ、

サミールと同じ屋根の下で暮らすんだから、どちらも居心地の悪さ絶大

 

 

 

クリーニング店を営むサミールの妻セリーヌは、うつ病を患っており、

自殺未遂で、植物状態となっていて、結婚を決めたのは、

「失敗」の結果、マリーが妊娠した為。しなかったら、どうなっていたかは???

 

 

タイトルでもある「過去」とは、何故セリーヌが自殺を図ったか、と、

アルマドがマリーの元を去り、テヘランに戻ったのは何故か、なのだと思います。

 

 

サミールは、病気とはいえ、店頭に出た方が精神的にもいいだろうと、

不法就労の女性従業員と2人、お店で働かせていた。

自殺未遂の数日前、仕上がりへのクレームでお客様と口論になり、

サミールは、妻を店頭から退けていた。

 

 

それが原因だと思われていたのが、

リュシーの告白により、母とサミールのメールのやりとりが転送され、

二人の関係を知ったのが、未遂事件の前日で、リュシーもその事実を背負っていた。

 

 

だが、何故リュシーがセリーヌのアドレスを知っていたのか?って話に。

(単に、サミールの携帯で簡単にわかると思いましたけど、そう単純じゃなかった)

お店に電話して、当人に聞いたというリュシー。

こういう話をする時、異性の親の方が話しやすい???

 

 

しかし、セリーヌは店にいなかった筈。そして、訛りがあったとリュシーが話した事で、

アドレスを教えたのは、従業員の女性だという事がわかる。

セリーヌはフランス人で訛りはない。

 

 

セリーヌが、夫が彼女と浮気しているのではないかと、自分を嫌っていたこと等、

面倒な職場女性同士にありがちな、色々が積もり積もってて、

彼女は、リュシーに、セリーヌのアドレスを教えたのでした。

 

 

 

し~か~し~、セリーヌのとった方法というのが、

店に行き、従業員の前で、洗剤飲んだというもので、

不倫相手がマリーと解っていたら、マリーの前で飲んだのでは?って話に。

 

 

リュシーは一旦、家を出ようとするが、マリーは彼女を引き留めに行く。

 

 

挙句、マリーにしろサミールにしろ、元々の相手のことを愛していて、

不倫は、厳しい現実からの逃げに過ぎなかったんですね。

 

 

内容とは関係ないけど、 ↓ この地味なスカーフ、結構使えそうだった。

 

 

アルマドは、帰国の途に就く前に、自分が何故自国へ帰ったかを説明しようか?

と、マリーに聞くが、ここに至って、マリーも吹っ切れたものが・・・

 

 

「もういいの」子供達と会話を交わして去るアルマドを見る、

彼女の顔は、空港依頼、久々に険しさが消えている。

 

 

サミールは、人間、一番最後まで残るのは「香」の感覚だということで、

病院に、妻の使っていた箱いっぱいの香水を持参する。

 

 

だが、結果、医師からは冷たく、反応はなかったと告げられる。

看護師さんに取りすがって、どの位試したか聞くと「ひとつふたつ」との答え。

って事はひとつよね、多分。いったん、帰りかけたサミール。

病室に戻ると、自分愛用のコロンをつけるの

 

 

二人の重ねられたが映し出され、そのままエンドロールに。

色々なボタンの掛け違えは人生を左右するし、

大切な相手に、必ずしもその想いが伝わるとは限らない。

日々の生活の中には、問題山積みにされる。

 

 

それでも、大切な人にも自らにも、誠実対峙することで、

人生に向き合う事が、どんなに大変でも、一番の幸せ・・・

逃げ道は結局、逃げ道でしかない、とかいったことを考えました。

息子は母親の自殺未遂を理解しているけど、

その事実は変えられないなら、彼が、受け止める方向を探すしかない。

 

 

皆、大変で「幸せで~す☆」ではないけれど、最もいい形の選択?

あ~、こういう、ニュアンス色が強い、ヨーロッパ方面の作品を拝見すると、

なかなかヨーロッパから離れられなくなるんですよね。