「La Fille Inconnue(午後8時の訪問者)」(2016)拝見10枚+1枚 | 時は止まる君は美しい

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巡りあった美しい人達の記憶を重ねます・・・
B面ブログ「扉・鎧戸・宵の口」も始めました。

 

後悔・振り返り・行動・成長

 

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督作品。(ベルギー・フランス)105分

アデル・エネル様、オリヴィエ・ボノー様、ジェレミー・レニエ様ルカ・ミネラ様、

ナデージェ・エドラオゴ様、オリヴィエ・グルメ様、ピエール・シュムケ様他

 

 

小さな診療所、老齢の医師が入院中で、女医ジェニーは、

インターンのジュリアンと共に、代理診断している。

 

 

次の勤め先でも、歓迎され、待たれている有能さは、

プライドと共に、時にとなって、助手傷つける

 

 

その日、診療時間を一時間超えた8時、インターフォンが鳴る。

出ようとするジュリアンを、時間を理由に止めるジェニー。

ぎくしゃくする関係のまま、ジュリアンは医師になるのをやめ、田舎に帰ってしまう。

翌日、刑事がやって来る。あの時間のセキュリティー録画を求めて。

 

 

インターフォンを鳴らした、画面に映った、その少女遺体が発見されたのだ。

助けを求める少女の姿。「あの時、ドアを開けていれば」

名前も解らない少女を、せめてきちんと埋葬しようと、

ジェニーは、少女の名前を墓石に刻むべく、関係者の調査に当る。

少女の死という、重い事件冒頭でいきなりショックを与えます。

でも、とつとつと、調査を進めるジェニーの、派手さの全然ない映画です。

でも、一連の行動の中で、ヒロインを変えていくものが。

 
 

きっと、将来有望な方なんですよね、ヒロイン。

次の職場での歓迎へのあいさつに、「皆さんに負けないように頑張ります」だもの。

押しは強いです。ちょっとやそっとじゃ引き下がりません。

名前の知れない少女の、足取りに、少しづつ近づくヒロイン。

警察でも、若干鬱陶しがられてる?墓石に名前を入れてあげたいだけなのに。

 

 

遂に、この件に首を突っ込むな、という脅しも、かけられる始末。

生活の底辺の中でも、もがき、守り合う家族たち。

知っていることがあっても、互いを守って、そうそう口は開かない。

秘密にしておきたいことを、それぞれが抱えている。

 

 

特別大きな起伏がある作品ではありません。ヒロインのコートも、ずっと同じで印象的

このコートが、はっきりした色のセーターと、何でもあう優れもの

新たな眼で、少女に関して調べて行くうちに、ジェニーの中で、変化し、産まれて来るもの

 

 

やがて、ジュリアンの元を訪れ、彼への強く傲慢な態度は、

自分の立場を上だと、示したかったから。あの時のベルにも、出てよかったのに、

そうすれば、少女死なずに済んだのに

わざと、無視させたのだと告げ、あなたはいい医者になる

実習もあと、一週間。戻っていらっしゃい・・・、そういうことを告げるようになるジェニー。

 

 

そして、自らも、栄転になる、歓迎されている病院断り

地道な仕事で、収入も期待できない、診療所を継ぐ決意をする。

 

 

何かが、生き方を変えるきっかけとなることがある。

順調な人生が待っていたにしろ、人との優劣競争心でなく、

自分自身に向き合い、成長することは難しい

拝見して折る時は、じぼっと暗く、激しく迫って来るものは感じなかった映画ですが、

観終わって、時間が経つにつれ、大切な真摯な人生が迫りくる気がして、

思わず、再見してしまいそうです。拝見している時より、ずっと心に残った不思議な作品でした。

+1枚、こっちもいいな・・・で、日本版のポスターを。