再掲・『Silence(沈黙 -サイレンス-)』(2016)神とパードレの沈黙 | 時は止まる君は美しい

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2017年10月25日記事

 

 

スコセッシ監督の、日本の気質への理解力にやられた!と思った本作。

そしてやはり、役柄を含め、イッセー尾形様に感動しました。

宗教というのは、「助け」を求める人にはそれぞれだと思うけど、

基本気象風土、発生時の歴史的背景が深く関わってると思う。

 

 

だから本作も難しい問題。土着信仰も素晴らしいのに・・・

宗教も組織化したら、どんどん広めないと気が済まないからなあ。

この作品を拝見して、原作(初版)購入したけど、未読です~。いかんいかん。

 

極限の向こう

 

遠藤周作原作マーティン・スコセッシ監督作品。(アメリカ)159分

アンドリュー・ガーフィールド様、リーアム・ニーソン様、アダム・ドライヴァー様

窪塚洋介様、イッセー尾形様、浅野忠信様、塚本晋也様、片桐はいり様、笈田ヨシ様

 

 

今年、念願だった、同じく遠藤周作先生原作の「海と毒薬」が再見出来、

当作品を拝見出来るようになって、でも、自分の中で拝見しきれる時でないと、

この作品には向かい合えないと思い、拝見が遅れ・・・

(あと「深い河」、ソフト発売お願い致します)

 

 

昨日から、台風の影響で豪雨が続き、外界から隔絶された状態の中、

朝5時前から、「あ、今だ」と、拝見することが出来ました。

17世紀、異国の地に始る前半

 

 

キリスト教弾圧の前に布教に渡り、弾圧が始ってからのクリストヴァン・フェレイラ神父最後の便りが、

二年を経て、彼が棄教し、日本人として暮らしているというと共にポルトガルに届く。

 
 
 

 

フェレイラ神父をと仰ぐ二人の神父が、真偽を追い、

最後の宣教師として江戸時代初期の日本へ・・・

 

 

 

漂流中を助けられたという日本人キチジローと共に、マカオから日本密航する神父たち。

彼らを迎えた隠れキリシタンたちとの身を隠しての日々の中の、布教活動

 

 

「物」での表現を通し、信仰を大切にする信者への宣教師が抱く不安

 

 

長崎奉行・井上筑後守による、「じいさま」と呼ばれる、村長を含めての拘束と、

宣教師の身柄引き渡し要求。宣教師への棄教の要求。

 
 

 

 

 

彼らが捕まってからの、後半

 

 

ようやく、対面することが出来た、フェレイラ神父との対話

 

 

「キリスト教を邪教とは思わぬ」と宣教師に告げつつ、

鎖国中の日本にとってのキリスト教日本人の気質とキリスト教、を語る井上筑後守。

イッセー尾形様圧巻の存在感

 

 

 

拷問を受け、踏絵を踏み、棄教してさえ、宣教師が棄教しないために処刑されていく信者たち。

宣教師の一人は、救おうとして、自らも命を落とす

 

 

 

処刑されるキリストが口にした「エリ・エリ・レマ・サバクタニ(神は何故我を見捨てたもう)」

という聖書のイエス・キリストの言葉を思い出させるような、

宣教師の「なぜは我々にこんなにも苦しい試練を与えながら、沈黙したままなのか?」の自問。

 

 

ほぼ全編を通し、共に存在するキチジロー。かつて踏絵踏んだ男

 

 

家族全員が棄教を拒否し、処刑されるのを見届け告解し、宣教師を引き渡し

信者に、踏絵を踏む見本を示させられ・・・ユダのような役回りの彼の人生、心の底

窪塚洋介様、死ねなかった人には使命があるのか?と思うキチジロー役)

 

 

タイトルロールエンドロールも、音楽らしい音楽は無く、

虫の音、蝉の鳴き声に始る自然の音が流れ続ける。沈黙

このがなんとしっくりくることか。日本人みどり。

 

 

 

過去何回も書いておりますが、みどり、キリスト教信者ではありません。

なので、その視点からものを言う事は出来ないです。

しかし、物語りの最後、フェレイラ神父のその後と共に、一挙に語られるそれぞれの最期。

極限を越えた先での、「信じるもの」について、考えずにはいられません。

 

 

宗教哲学を専攻し、原始仏教に一番惹かれると言いつつ、遠藤周作作品に心酔していた亡父。

みどりを「一個の人格として一切認めることが出来ない」と言い切った亡父。

彼にとって、「子」への「赦し」を得ることがないまま逝ったのであれば、本当に切ない。

 

 

最後にこの原作に接し、長年、温め続け、映画化しきった、スコセッシ監督のお姿を。

 

 

 

?この方と、ディカプリオ様との蜜月って、お互いに意味があったのか、

改めて疑問に思った・・・というのは蛇足

また、浅野忠信様が演じられた通詞役渡辺謙様降板からの代役だそうで、

そういう「成功」!運命って、配役によくあるなあ・・・と思ったのも、蛇足?