「赤い靴」
神社仏閣、古美術などを拝見すると、
元の色彩から、年月がたって、わびさびが出て、
それが何とも落ち着いていいものですが、
同時に、それらがそのものだった時代に放った輝きは、
どう人々を魅了したのだろうか・・・と思ったりします。
たいていの場合、今、時間と共に風化したこの姿が見れるのが、
有難いことなんだろう・・・と思うのですが、
先日、何気なしに、動画で１９４８年、マイケル・パウエル、
エメリック・プレスバーガー監督作品、
「赤い靴」の、マーテン・スコセッシ監督による、
デジタルリマスター・エディション（２００９年）を拝見し、びっくり。
実際に、過去に観た映像と、まるで違っていました。
これって、元々はこうだったの？
それとも、デジタルで撮影したらこうなるという事？
どうも、カラー作品の場合、「復元」は、元の色は正確にわからないから、
想像による色になるらしいですね。だから、正しくは、スコセッシ監督監修版という感じ？
ジャック・カーディフ撮影の「赤い靴」
こんなにもめくるめく画像だったのかと、目を疑うきらびやかさでした。
場面場面の背景もまた、驚く美しさ。
ハンス・クリスチャン・アンデルセンの同名の童話で、
美しい赤い靴の魔力に囚われて、切望した結果、
踊り続けなければ成らなくなった少女の話を、
バレエ化した作品に抜擢された、
モイラ・シアラーさま演じるヒロイン、ヴィキイが、
プリマでに成功と共に、人生の大切なものを失うという、
劇中劇のバレエと、バレリーナ自身の物語が、
深く交差する映画「赤い靴」。
スコセッシ監督のギャツビーは３Dとのことでしたが、
これこそ、その映像を、劇場で３Dで観たら、どんな感じだろうと、
思ってしまいました。陶酔の渦に巻き込まれそう。
スコセッシ監督、二年の歳月をかけての、
オリジナル・ネガ修復作業だったとのこと。
有難うございます。いつか劇場で拝見したい一本となりました。
1952年、同じくマイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー監督、
「ホフマン物語」も、モイラ・シアラーさま主演。
こちらも、華やかなバレエが展開されます
モイラ・シアラーさまのバレリーナとしてのキャリアは、
映画の名声が大きすぎて、それが頂点になってしまった由、
しかし、お幸せな結婚生活を送られたそうで、
「赤い靴」の悲劇は、現実とはならなかったようで、目出度し。
そして、「赤い靴」というと、どうしても思いだしてしまう、
もう一本の名作。かかとを合わせて音を出す、ジュディ・ガーランド様。
１９３９年、ヴィクター・フレミング監督作品「オズの魔法使い」
大龍巻に巻き込まれて、魔法の世界にやって来たドロシーが、
エメラルド・シティに住むオズの魔法使いに会って、
元の世界に戻して貰う旅。
桃太郎のように、どんどん道連れが。
案山子、ブリキ人形、ライオン、魔女も皆、
現実のあのおじさん、おばさん、そっくり。
愛犬トトと共に、元の世界に戻ったドロシーが唄う、
「Somewhere over the Rainbow」（虹の彼方に）
どこか高い空の上 あの虹の向こうに
子守唄で聞いていた国がある
どこか碧い空の あの虹の向こうに
夢だと思ってあきらめないで
いつか本当に夢は叶うから
いつか 私は星に祈る
目が覚めると雲が私のずっと下にある
悩みはレモンドロップのように溶けて
そしてあなたは煙突のてっぺんで私を見つけるの
どこか青い鳥は飛んでいく あの虹の向こうに
鳥は虹を超えて飛んでいくけれど
だけどどうして どうして私にはできないの？
いつか 私は星に祈る
目が覚めると雲が私のずっと下にある
悩みはレモンドロップのように溶けて
そしてあなたは煙突のてっぺんで私を見つけるの
どこか青い鳥は飛んでいく あの虹の向こうに
鳥は虹を超えて飛んでいくけれど
だけどどうして どうして私にはできないの？
あの青い鳥たちがもしも幸せだったら
虹を超えて飛んでいかないでしょ
あぁ、どうして どうして私にはできないの？
モイラ・シアラー様と違い、「スタア誕生」等の名作に、
数々主演しながらも、その生涯は必ずも幸せとは、
言い難かったのではないかというジュディ・ガーランド様の最期。
それでも、貴女の、ドロシーは不滅。
貴女の苦悩も、今、空の上でレモンドロップのように、
溶けていて欲しい・・・
以前、この靴が盗難にあったと、新聞で読んだ記憶。
見つかったのでしょうか？