大のお気に入りEmile ParisienがDave Liebmanの後釜としてJean-Paul Celeaと演奏活動していたことは前々から知っておりました。で、早よアルバム出ぇへんかしらんとウズウズしておりましたので、オンラインに登場するやいなや「トオーッ!」と跳びかかってガシッと捕獲。
最初に書いておきますが、今回の獲物はとびきりの上物ですぜ。何しろこの3人ときたら、そらもう凄いんです。こいつぁー傑作だとはっきり言ってしまおう。当然、今年聴いたアルバムの第1位は確実。バランス、音質ともに録音が抜群に良いです。
本作は、全12曲中、Ornette Colemanが11曲。Jean-Paul Celeaのオリジナル(ベースソロ)が1曲。
アブストラクトな表現が大半を占め、完璧にユニゾったり、反応しあったり、ビシッとキメたり、スウィングするかと思いきやルバートになって聴き手を焦らしたり...と縦横無尽な感じがしてスリリングな展開が多いですが、かといって行き当たりばったりな演奏など一つも無く、洗練されたアレンジで入念に練られた跡がうかがえますし、非常にソリッドに構築されていて作品としての完成度も高い。三者ともに演奏レベルがとてつもなく高いうえに表現力も豊かで、美しいと感じる場面も多いです。
無駄な音が無くて全く隙が無いハイテンションな演奏なのに、超一流ミュージシャンの余裕が創り出す音楽だからでしょうか、聴いていて凄ーく気持ちが良いです。私は、本作を聴き終える度に、今までジャズという音楽を聴いてきてほんとに良かったなー、あー幸せっ♪て思います。しかし、この人たち、ライヴはもっと凄いんでしょうねー。
本作には長尺な曲が無く、最長でもLonely Womanの5分38秒で、3分未満が5曲もありますが中身が濃いために短さを感じません。どの曲も聴き応え満点ですが、特に気に入ったのは、寂寥感、孤独感を過不足無く繊細極まる演奏で表現して聴き手に訴えかけてくる6曲目のLonely Woman。それから、Emile Parisienのソプラノサックスが信じられないような不思議な音色を発していて驚かされる10曲目のAllotropes, Elements Different Forms Or Same。そしてアルバムのラストを飾るCosy Pentyは、とても複雑で、優しく美しくも力強いベースソロ。いやもう、お見事の一言です。
さて、私は、このブログでEmile Parisienのことを何度も絶賛してきましたが、彼の才能はもっともっと注目されるべきですね。本作を聴いて強く感じたことですが、彼は常に進化しているのでは?いろんなミュージシャンからオファーがかかるのも当然で、これからの活躍がますます楽しみですねー。
*オマケ
現在進行形のジャズミュージシャンが度々取り上げていることもあり、Ornette Colemanの曲に触れる機会はけっこうあったように思います。が、私、Colemanのアルバムは一枚も持っておりません。で、この機会にと思い、Colemanの原曲ってどんなんかいな?と、本人のアルバムから少しだけ試聴してみたんですが、いやはや、あれほどまでにヘンテコリンなジャズがあの時代に既にあったということにまずビックリ仰天!(笑)ひょっとして演奏、下手?とか、リズム感も無いんとちゃうか?とか、コードもへったくれも無い?とか、思ってしまいました(Colemanさん、ゴメンね)。
私にはOrnette Colemanの偉大さの程がよく分かりませんが、この人がいなかったなら本作のような優れた作品も世に出ないわけで。ということで、Colemanさん、ありがとね♪
■Jean-Paul Celea / Yes Ornette ! (Outnote Records OTN 016)
Emile Parisien (ss)
Jean-Paul Celea (b)
Wolfgang Reisinger (ds)
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