ちょっと遅くなってしまったけれど、ライヴに行ったので思い出しながら書いてみます。
スケジュールの関係で私が行けるのはツアー最終日の11月11日のみでした。最初、一人で行こかしらん...そやけど、前日までのハードスケジュールをこなし、往復3~4時間の運転で帰宅が真夜中ってのはいかにも辛い...といってお一人様でお泊りもなあ...と思っていたら、海外出張でほとんど家に居ない夫が東京出張のため一時帰国し、再び海外へ飛ぶ日がちょうどライヴと重なることが判明。そこですかさず「夫道連れ大作戦」を開始しましたら「ピアニスト、美人やで」の一言で出発日を変更し、妻の道楽に付き合ってくれることに(笑)
私のお目当ては、長らく渡米していた清水勇博 (ds)。
彼の演奏を初めて聴いたのは、2004年8月8日に地元で行われた「赤煉瓦サマー・ジャズin舞鶴」でのこと。第1部に出演した全国一般公募優秀賞ユニットの石田ヒロキ&フレンズのドラマーが清水勇博で、オリジナル曲中心のけっこう硬派な演奏において彼のドラムは断トツに光っていました。まず、無駄な動きの無いしなやかなフォームに私の目は釘付け。そしてむちゃくちゃシャープでかっこいいドラムに始終聴き惚れていたという感じで、第2部の松永貴志トリオが始まっても上の空...というほどに彼のドラムは強烈でした。私が現在進行形の欧州ジャズを聴き始めてから2年ほど過ぎた頃で、新譜をたくさん聴きこんでジャズにどんどんのめり込んで行った時期でした。そんなときに聴いた清水勇博は、今調べてみたらまだ21か22歳という若さだったんですねー。
さて、あれから8年!(笑)
西山瞳もアルバムのParallaxも時間の都合で予習出来なかったけれど、ジャズのライヴは久しぶりなので嬉しい。雨の阪神高速を走行中、ナビのお姉ちゃんが故障車と事故車で渋滞だと告げるとほどなくノロノロ運転になりましたが、ようやく一つ手前で高速を降りるとハービスENTの駐車場へと無事に滑り込みました。
インターネット予約の備考欄でドラマーの様子が良く見える場所を希望していたのですが、他にも同じ希望が多かったそうで、真正面とはいかなかったもののけっこう良いお席だったかも。ミスターケリーズに来たのは2回目です。空腹だったので注文したお料理をパクつく。そうするうちに、狭いハコはいつの間にか満員の聴衆でギッチリ。
定刻10分過ぎにメンバー登場。「ようやくつかまえたぜ!」と、ドラマーを目で追う私。ピアニストの美人度を真っ先に確認する夫(笑)
ライヴは入替無しの2部制。
1stの1曲目は、このツアーのために書いた新曲だというRock Out。無調感と跳躍する音使いは、モンクとピエラヌンツィを足したかのような印象で、インプロの応酬に似た構成が続く。「なるほど、ツカミがこれね」と、なんとなく西山瞳のことを勝手に納得した私。新曲はこの他、何故かこのバンドのレパートリーには無かったというバラードあり、またどことなくプログレ調の曲もあり。1stでは、どの曲も良かったですが、ピアノの切なく甘いメロディー、スピード感のあるドラム、良く歌うベースが印象的なThe Other Side Of Midnightという曲も良い曲でしたね。
2ndでも硬質とリリシズムが入り混じる三位一体型でノリの良い演奏が続く。澄まし顔だけど演奏はちょっぴり男勝りのピアノ。西山瞳のメンバーへの合図は、弓型の細い眉をぐっと上げての目配せひとつでしたね。リズムを細分化したりアクセントを変えたりと忙しくそして遊んでいるかのように楽しげに、しかし鋭く切り込むように叩きまくるドラム。ベースもよく健闘していたけれど、音響のせいか聴き取りにくかったのが残念。バンドの方向性からでしょうけど、聴き手によっては小難しいと感じるかもしれない凝った曲もあって全体を通してとても聴き応えがあり楽しめました。
それにしても、西山瞳の作曲の腕はかなりのもんですね。見た目はたおやかで小柄でとても女性らしい人ですが、そんなイメージが吹き飛ぶほどにハードでハイテンション。が、ラストはガラリと趣を変え、素直で美しいメロディが軽やかに優しく歌うAprilis。こういう心落ち着く曲を演奏する時の西山瞳もまた良かったです。
アンコールは、この日唯一のスタンダード曲Softly, As In A Morning Sunrise。西山瞳の「最後まで運動会やります(笑)」の前置きどおり、テーマだけを借りて7/8拍子で疾走する全く別の曲になってましたけど、これも良かったです。
さて、お目当ての清水勇博のドラムは、それはそれはかっこ良かったんですよー!特に1stのラスト曲のドラムソロが聴きものでした。ときおり浮かぶヤンチャな笑顔もステキ。引き出しが多くて何でも叩けると感じたのは8年前の印象と変わらず。テンションも十分で華もある。西山の曲には清水のドラムがばっちり合っていて、彼でないと表現出来ないものが沢山あるのでしょうね。ただ、少々厳しいことを書けば、引き出しが多過ぎるせいか、曲全体の流れを捉えた時に散漫の一歩手前で踏みとどまっていると感じる場面が無きにしもあらず。また、テンポのゆらぎなどの遊び心が増した分、以前ほどのシャープさは薄れたように感じることも。
ということで、8年ぶりの清水勇博を確認しにここへ来た甲斐は十分にありました。
1stのあと、parallaxのCDを買って店を出たところで清水勇博さんを見つけ、休憩中に悪いかしらと思ったけれどお願いしてみると「喜んで!」とニッコリ笑って応じてくださいました。
今回でちょうど2冊目になったサイン帳は、フランスのクレールフォンテーヌ社のもので、ここには出せないけれど表紙がとっても奇麗なんです。私のお気に入りサイン帳の2冊目第1ページ目に、8年ぶりにしてようやくつかまえたドラマーの大きなサインが記されて満足です。
帰宅すると真夜中をとっくに過ぎてましたがその日はぐっすり眠りました。それはもう寝過ぎなほど。で目覚めたら8時半でした(笑)で、その日は、家でも仕事に忙殺されている夫を見かねて紅葉狩りへと連れ出し、帰宅すると、再び海外へと向かう夫のために愛妻弁当を作り、駅で熱い抱擁とキッス攻めにしといてから夫をお見送りしたアーティチョークでした(下線部に脚色あり)。
■西山瞳trio“parallax”
西山瞳 (p)
坂崎拓也 (b)
清水勇博 (ds)
11/11(日)Mr.Kelly's
西山瞳のブログからコピペしたセットリスト
1st
Rock Out
Cross Section Of Gray Cities
The Other Side Of Midnight
Pictures
Al
2nd
Shift
Move
Wright Flyer
Flood
Aprilis
En
Softly, as in a morning sunrise