STEPHANE KERECKI & JOHN TAYLOR / PATIENCE | 晴れ時々ジャズ

晴れ時々ジャズ

日々の雑感とともに、フランスを中心に最新の欧州ジャズについて書いています。

秋も深まり、オーディオで音楽聴くのにぴったりの季節がやってきました。本作を聴いたのは、台風が来る前のお月さんが奇麗な夜のことでした。「さ、久しぶりに今夜は未開封盤でも聴くか♪」と思ったんですよ。で、再生ボタン押したとたんに気が付いて「しもたあー!」と思いました。何故かというと...。


庭の虫が賑やか過ぎる!(笑)


なんか、今年は特に虫が多いような...。うっとこは田舎ですんで、住宅街といえどもエンマコオロギとかミツカドコオロギとかカンタンとかカネタタキとかマツムシとか、そらもうウジャウジャといろんな虫たちの協演が凄いんですよね。カネタタキなんかはもう昼間っから庭のあちこちで鳴いてます。

そこで、今夜は新譜聴くのやめよかーとリモコンに手を伸ばしたんですが、「いや待てよ、野外ライヴみたいでええ感じかも」(笑)と、聴き始めました。そしたら、期待以上にむちゃくちゃ良かったんよー!
と、アホな前置きはここまで。


本作は、若手ベーシスト(仏)と重鎮ピアニスト(英)のデュオ。STEPHANE KERECKIの8曲、SCOTT LAFAROの1曲、デュオによるインプロが3曲の全12曲。2010年9月にSTUDIO SEQUENZAにて録音。音質は良いです。


前々からSTEPHANE KERECKIのことは只者じゃないと感じていたけれど、本作を聴いて確信しました。作曲の才能と演奏能力の高さは言うに及ばず、高度なインタープレイ、音楽的センス...。彼ほどのミュージシャンなら、もっともっと評価されるべきでは?

JOHN TAYLORは、私にとってはContoSで知ったピアニストであり、またContoSのJOHN TAYLORが一番好きなんですが、本作のJOHN TAYLORもまたContoSに負けず劣らずの素晴らしさ。ますます大好きになりました。


本作は、分かりやすく親しみやすいメロディが少なめだし抽象表現もあったりするので好みが分かれそうですが、生き生きとして、美しくて、力強くて、スリリングで、冒険心に溢れていて、そして知的ともいえるデュオに感動を覚え、最後までのめり込むように聴き入ってしまいました。デュオを行う2人のミュージシャンにとって、これほどの演奏は至福の時だったに違いありません。


これ聴くのは一人きりの夜がいい。そやけど、次に聴くときは虫が一匹もおらんようになってからにしよっと(笑)

本作は、今年聴いた新譜のベスト5入り。ヒャッホー!



■STEPHANE KERECKI & JOHN TAYLOR / PATIENCE (Zig-Zag Territoires ZZT 110402)
STEPHANE KERECKI (b)
JOHN TAYLOR (p)


入手先:HMV(通販)