SEIJI TADA THE MOST / ライヴリポート | 晴れ時々ジャズ

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日々の雑感とともに、フランスを中心に最新の欧州ジャズについて書いています。

大阪梅田で行われる○○○会〔←かつてはオヤジ同士による「勉強会&飲み会」だったのが、最近はたんなる「飲み会」となってしまったらしい(笑)〕の新年会に出席する夫に頼まれて私が帰りの運転をすることになりました(もうこれで3回目かな)。ということは、私、夜の都会に放し飼いにされますので、これ幸いと一人ライヴを楽しむことに決め、邦人アーティスト可、ただしオリジナル曲で勝負する歌物でないジャズで探してみました。

見つけたのは多田誠司がリーダーのTHE MOSTというバンド。小6の頃から現在まで洋楽一辺倒の私は、とうぜん日本のJAZZに疎いので、演奏はもちろん名前も顔も全然知らない人たちばかり(汗)だったのですが、たまにはこういうのもいいかもしれないと思い、大阪は曽根崎新地のMISTER KELLY'Sへ行って参りました。



MISTER KELLY'Sへ行ったのは今回が初めてです。ミュージシャンと聴衆の距離が近いのは良いのですが、狭いハコに椅子とテーブルがぎっちりと並べられて店内が少々窮屈に感じられました。環境適応能力に優れた私なのですぐに慣れましたが(笑)今にして思えば、多田 誠司のフレンドリーで楽しいMCもあいまって、狭い会場だからこそ生まれる心地よく親密な雰囲気が漂っていたのではないでしょうか。ライヴは19時30分~と21時15分~の2部制、30分の休憩、入れ替えなし。
事前にCDを買って予習する時間もなかったのですが、開演と同時に演奏にぐんぐん引き込まれ、このライヴを選んだのは正解だったと確信しました。

リーダーの多田誠司は、自分たちの創り上げるジャズを「チャレンジ精神」という言葉で表現していましたが、それは変拍子やリズムチェンジ等を積極的に取り入れる凝った曲作り(アレンジも上手いと思った)と、エネルギッシュで思い切りの良い吹きっぷりにもちゃんと表れていると感じました。多田誠司の演奏は、綺麗な音が出ていて間の取り方も上手かったです。最初の1曲だけスタンダードのMY SHINING HOURを。他は全て4人それぞれのオリジナル曲。各人の演奏レベルがとても高くバンドに一体感と躍動感があるので、楽しく演奏に乗れて存分にエキサイトできました。ラスト(アンコールだったらしい)、上村信作曲による新曲の静かで美しいメロディ、切なく響く大坂昌彦のドラムを聴いたとたん、ああこれで終わりだな~と思うと、感動して胸がつまりました。演奏は合計でちょうど2時間半だったのですが、時間がとても短かく感じられるほどの素晴らしく内容の濃いライヴを堪能しました。

私が一番気に入ったのは、なんといっても大坂昌彦のドラムです!非常にメリハリが利いており、アクセントもキメもばっちり。バスドラが肋骨に響くほどの叩きまくりであってもちっともうるさく感じず、聴いていて実に気持ちよかったですし、予定調和でない演奏でピアノやサックスに対して瞬時に反応するところなどは、凄いなあと感心してしまいました。1stセットでは曲によってユーモラスなフレーズを織り交ぜたり、2ndセットでバンドが絶好調になると、曲とは別の違ったリズムを叩いたりもする(ARI HOENIGみたいな)やんちゃぶりも。ライヴのあいだじゅう大坂昌彦のドラムを追っているだけで面白くて、もうワクワクのしどおしでした(笑)また、彼はとてもクリエイティブで多彩な演奏が出来るドラマーだなということもよーく分かりました。おそらく彼がいなくては、THE MOSTの演奏は成り立たないのでしょうね。
ウッドベースの上村 信は、縁の下の力持ちという感じながら演奏は良かったです。ピアノの石井彰には少々つかみどころが無いと感じる部分もありましたが、これもチャレンジ精神ということなんでしょうね。

終演予定は22時30分とのことでしたが、23時前までには駐車場に戻る必要があったので、休憩時間にCDを購入し、大坂さんにサインをお願いするチャンスを得ました。大坂さんは私のサイン帳に興味しんしんで1ページずつ丹念にチェック(^▽^;) 少しお話もしてくださいました。
こんなことを書くと失礼かもしれませんが、目の前にいらっしゃる大坂さんは、意外に小柄で華奢なかただったのでちょっとびっくり。でも、その後2ndセットでドラムを叩く姿を拝見すると、不思議なことに大坂さんが小柄で華奢だという感じはしないのです。ということは、演奏のときの大坂さんは実際より大きく見えているということなんですね。持ち帰ったチラシを見てみますと、「SJ誌読者投票12年連続ポール・ウィナーの大坂昌彦」と書いてあるじゃありませんか。不学ですみません。存知ませんでした~。

大坂昌彦さんにいただいたサイン。



ピアニストの石井彰さんにもサインを頂戴しました。



多田誠司のTHE MOSTは、とても印象に残るライヴでした。もしかすると私は、幸いにして、今が旬の人たちの演奏を聴くことができたのかもしれないなと思っています。次の機会があれば、またライヴでぜひ聴きたいですね。

出演 : THE MOST
       多田 誠司 (as, ss, fl)
       上村 信 (b)
       石井 彰 (p)
       大坂 昌彦 (ds)
日時 : 2008年1月12日(土) 19時30分開演
会場 : MISTER KELLY'S(大阪市北区)