LOUIS WINSBERG / DOUCE FRANCE | 晴れ時々ジャズ

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日々の雑感とともに、フランスを中心に最新の欧州ジャズについて書いています。

LOUIS WINSBERGを知ったのは、PARIS JAZZ BIG BANDやALFIO ORIGLIO(p)のアルバム、またDEE DEE BRIDGEWATER(vo)のアルバムとDVD作品等だったのですが、この人のギター、めっちゃええ感じやん!と注目。特にフラメンコギターときたらため息もののかっこよさで「きゃ、ステキ♪」と、聴くたんびにアーティチョークの目ぇはハートになっておったのです(笑)
というわけで、前々から今度リーダー作が出たら買うぞ!と思っていたのでさっそく飛びつきましたが、何だか随分待ったような気がします。

以下にLOUIS WINSBERGの簡単なプロフィールを。
1963年、マルセイユ生まれ。
12歳の頃、後にGYPSY KINGSの母体となるLOS REYESのメンバーであった友人と共にギターを始める。
クラシックギターを2年間学び、CHRISTIAN ESCOUDE、GERARD MARAIS、BOELL ROUBACHに師事する。
1979年(16歳)でパリへ移り、ジャズクラブ等で演奏し、SEVRES音楽学校で学ぶ。
初めてのレコーディングは、LOS REYESのアルバム参加によるもの。
1983年にラ・デファンス国際コンクールで優勝。
CIM(1976年創立)で教鞭を執っている。
SIXUN(1985年~)というバンドでは結成当時からのメンバーであり、JEAN-PIERRE COMO等と共に現在も活動中。

さて、本作はLOUIS WINSBERGの5作目(かな?)で、2006年8月録音、2007年リリース。今回はオリジナルが無く、全15曲の全てがシャンソンや映画音楽など。知っている曲は半分も無かったのですが、どれも良い曲ばかりで、言わばフランス名曲づくしの趣向になっているようです。

エレアコ、セミアコ、フルアコなどなど、構造、種類、名称の違いが非常にヤヤコシイのでよう分からんということもあり、つい「近寄らんとこ!」と思ってしまうギターの世界ですが(笑)クレジットによりますとHERVE PRUDENTというメーカーのジャズギターFLEURS(1、2、4、5、6、8、10)と、GODINというメーカーのギター(3、7、9、11、12、13、14、15)を曲によって使い分けているとあります。HERVE PRUDENTを使用した曲では軽快なテンポが多く、音色を聴いた感じではエレクトリック・アコースティックギターのようです。また、GODINといえば思い出すのが名手SYLVAIN LUCですが、WINSBERGが本作で使用するGODINはLUCのとはまた違った音色(キュッというノイズがあるので純粋なアコースティックなのかも)で、テンポもスローな演奏が多めです。どの曲も演奏時間は短く、エンディングなどもすっきりと落とし前をつけていて1曲1曲を上手くまとめていてアレンジは良いです。

お気に入りの曲について少し書きましょう。
4曲目のLA MAUVAISE REPUTATIONは、ジャジーでハイテンション。
6曲目のDANSEZ SUR MOIは、グルーヴィーな魅力がいっぱいで本作では一番ノリが良いです。
7曲目のUN HOMME HEUREUXは、素晴らしいですね。哀愁漂うムードでゆったりしたテンポながら、WINSBERGの演奏には緩急のメリハリがあり多彩で、聴き応えは満点です。
9曲目のUN HOMME ET UNE FEMME(映画『男と女』のテーマ)は、イントロのギターからしてエエ感じです。原曲の良さを生かし、すっきりとまとめています。
11曲目のDERNIERS BAISERSは、ギター&ベースのデュオ。なんとも切なく哀愁ただよう美しいメロディで、WINSBERGのギターもステキ。それにしても、これ、どっかで絶対聴いたことある!と思ってちょっと調べてみましたら、SEALD WITH A KISSというタイトルで60年代にアメリカで流行したポップスらしいのです。おそらくフランスでも流行して、フランス人にも馴染みのある曲なのでしょう。
12曲目のLES FEUILLES MORTESは、アップテンポ。この曲におけるSTEPHANE HUCHARDのドラミングには、この人らしさが一番よく表れていると思います。この曲も含め何曲かでドラムとカホンが同時に聴こえますが、さすがに同時の演奏は無理ですよね(;^_^A でも、この人もかなりの千手観音だからな~(同時なのかもしれん)。
一番のお気に入り、14曲目のDOUCE FRANCEはWINSBERGのギターソロ。これはもう素晴らし過ぎて何も言うことはありません。こんな演奏なら、いつまでもずっと聴いていたい!

LOUIS WINSBERGの演奏に感じるのは、まず音使いのセンスの良さとその美しい響き、次に表現力の多彩さ、そして上品さ。時には速弾きもしていますが、アドリブが饒舌になったり表現が過多になることはありません。やはり私の思っていたとおり、LOUIS WINSBERGは確かなテクニックを持った歌心満点のステキなギタリストでした。
IRA COLEMANのベースは、WINSBERGのギターに寄り添い、時には反応し合うような演奏で相性も良いと思います。
STEPHANE HUCHARDも意外に(?)健闘していて、それぞれの曲に合った好サポートを見せています。
御用とお急ぎでないかたはLOUIS WINSBERGのホームページへどうぞ。
      http://www.louis.winsberg.com/fr/

■LOUIS WINSBERG / DOUCE FRANCE (e-motive records EMO 702)
LOUIS WINSBERG (g)
IRA COLEMAN (b)
STEPHANE HUCHARD (ds)
guests
MAURANE (vo) (13)
CHRISTOPHE WALLEMME (b) (13)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)