PIERRE DE BETHMANN / OUI | 晴れ時々ジャズ

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日々の雑感とともに、フランスを中心に最新の欧州ジャズについて書いています。

PIERRE DE BETHMANNが演奏するのがピアノなら聴くのは大好きでーす!が、フェンダーローズとなりますと、私にとっては過去の一時期を風靡した楽器というイメージで、70年代のフュージョンなどであの独特の音色を聴くのは良いとしても、現代の音楽でローズを演奏しているものは好みではありません。ですからDE BETHMANNの前作COMPLEXEや前々作ILIUMは聴いておりませんが、それでも今回に限ってDE BETHMANNがローズのみを演奏している本作を入手したのは、STEPHANE GUILLAUMEが参加しているからです。
本作は2006年9月録音、2007年リリースで、全9曲がPIERRE DE BETHMANNによるオリジナルです。また、全く知らないJEANNE ADDEDというシンガーがヴォーカリーズで参加しています。

一番のお気に入りは、1曲目のSHEMA。聴いたとたんに心の中で「よしよし♪」と呟き、思わずニンマリ。迫力ある分厚いサウンド、14拍子(かな?)による複雑に入り組んだかっこいいアンサンブルは聴き応え満点。DAVID EL-MALEKのソロが◎。VINCENT ARTAUDのベースワークも良いです。
2曲目のSINGULIERは、ヴォイスを主体にしたミステリアスなムードを持つ部分と重厚なアンサンブルで盛り上がる部分が交互に現れる。JEANNE ADDEDはアルバムの全曲において母音を主体とした器楽的ノンビブラート唱法を駆使し、完全に楽器としてアンサンブルの一翼を担っています。MICHAEL FELBERBAUMのギターソロも悪くありません。
3曲目のAIR COURBEもけっこう複雑です。PIERRE DE BETHMANNという人は、複雑な曲を書くのが好きなようです(笑)
5曲目のOUIは、乗りが良くゴキゲン。STEPHANE GUILLAUMEとDAVID EL-MALEKの息の合ったところや、STEPHANE GUILLAUMEのソロも◎。
7曲目のEXOは、変拍子とテンポチェンジを多用した複雑さのある面白い曲です。
8曲目のEFFET TATILLONは、ジャズ色が最も濃厚な曲。
9曲目のALTERATIONもけっこう複雑です。
全体を通して聴きますと、どの曲も全てが複雑で面白いことは面白いです(と、なんだか歯切れ悪し)。本作のようなフュージョン寄りの曲で演奏されるフェンダーローズも決して悪くはないのですが、PIERRE DE BETHMANNがピアノをバリバリ弾きまくるもう少しだけジャズ寄りの作品を聴きたいと思うのは私だけではないはず。ということで、PIERREさん、次はぜひ生ピアノ弾きまくり作品をお願いいたします<(_ _)>

ところで、FRANCK AGULHONは、私の知る限りではスネアを叩く頻度が一番高いドラマーです(いやホンマに)。前々から、基本に忠実で真面目(?)なドラマーという印象が私のなかではあったのですが、本作でもその印象は大きく変わっておりません(笑)しかしながら、派手さはないものの堅実で演奏の雰囲気に合った好サポートが出来るという点ではけっこう優秀なドラマーなのかもしれないと思っています(褒めてるつもり)。

御用とお急ぎでないかたはPIERRE DE BETHMANNのHPへどうぞ。
   http://www.pierredebethmann.com/

STEPHANE GUILLAUMEを紹介するページ。
   http://www.cornolti-production.com/artistes_steph01.htm#Mp3

DAVID EL-MALEK
   http://www.davidelmalek.com/

MICHAEL FELBERBAUM
   http://www.michaelfelberbaum.com/

FRANCK AGULHON
   http://www.franckagulhon.com/

■PIERRE DE BETHMANN / OUI (Nocturne NTCD 404)
JEANNE ADDED (voice)
STEPHANE GUILLAUME (as)
DAVID EL-MALEK (ts) (1970年、フランスのパンタン生まれ)
MICHAEL FELBERBAUM (el-g)
VINCENT ARTAUD (b) (1970年、フランスのアヌシー生まれ)
FRANCK AGULHON (ds)
PIERRE DE BETHMANN (Fender Rhodes)
入手先:HMV(通販)