JEAN-PIERRE COMO / L'AME SOEUR | 晴れ時々ジャズ

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日々の雑感とともに、フランスを中心に最新の欧州ジャズについて書いています。

2006年録音、同年リリースされたJEAN-PIERRE COMOの新譜は、カルテット+ヴァイオリンに管弦楽(バンドネオンを含む20人)が加わる大編成です。指揮を執るPIERRE BERTRANDは、PARIS JAZZ BIG BANDでNICOLAS FOLMERとともに双頭リーダーを務めるサックス、フルート奏者です(本作では演奏していません)。
全4曲のうちJEAN-PIERRE COMO作曲が1曲、PIERRE BERTRANDとの共作が3曲となっています。各人のソロ、オーケストレーションともに軟弱さは無く、全編に渡ってテンションを失っていないので退屈せずに聴くことが出来ます。オーケストラの入った作品としては、本作の出来はかなり良いほうなのではないでしょうか。
本作では、PAOLO FRESU、SYLVAIN BEUFという、個人的にお気に入りのミュージシャンのソロが聴けるのが嬉しいですね。本作でこの人選は間違っていないと思います。
ついついリズムパートを熱心に聴いてしまうのが私の癖なのですが、パーカッション奏者でドラマーのMININO GARAY(アルゼンチン出身)は、様々な楽器を巧みに使い分け、JEAN-PIERRE COMOの個性やオーケストラとも調和した多彩で洗練された演奏を聴かせていて上手いなあと思いました。この人、時々ヴォイスパーカッション的なこともやっておりますね。MININO GARAYは、現在のフランスジャズシーンでは特に注目すべきパーカッション奏者の一人だと思っています。
ベーシストのDARIO DEIDDA(イタリア人?)は、曲によってアコースティックとエレクトリックを使い分けていて、演奏は良いです。3曲目RICCORDOのイントロのエレクトリックベースによるソロなどはちょっとした聴きものです。
本作におけるJEAN-PIERRE COMOのピアノには、気品や節度というものが感じられて素晴らしいですね。イタリア的色彩を帯びた優雅で繊細なメロディーに郷愁と哀愁を滲ませたJEAN-PIERRE COMO独自の音楽美を創出するのに成功していると思います。
御用とお急ぎでないかたはMININO GARAYのHPへどうぞ。
       http://www.mininogaray.com/
DARIO DEIDDAのHPもありました。
       http://web.tiscali.it/dariodeidda/

こちらで全曲を試聴することが出来ます。
       http://www.fnacmusic.com/album/19f376cf-9275-46dd-b526-7240a41c2b95.aspx

■JEAN-PIERRE COMO / L'AME SOEUR (Nocturne NTCD 390)
JEAN-PIERRE COMO (p)
PIERRE BERTRAND (cond)
PAOLO FRESU (tp, flh)
SYLVAIN BEUF (ts, ss)
CHRISTOPHE GIOVANINETTI (violin solo)
DARIO DEIDDA (b, el-b)
MININO GARAY (perc)

ORCHESTRA (cl, bcl, fg, tp, piccolo, frh, ehr, ob, tuba, vn, vc, va, cb, bandneon)ミュージシャン名省略
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)