ALBORAN TRIOはイタリア発のピアノトリオ。ピアノのPAOLO PALIAGA(1961年、イタリアのヴァレーゼ生まれ)、ウッドベースのDINO CONTENTI(1958年、イタリアのトリノ生まれ)、ドラムスのGIGI BIOLCATI(1961年生まれ)という名前を聞くのも初めての3人だったのですが、演奏を聴いてみますとこれが予想をはるかに上回る素晴らしさ!詩情豊かで美しいメロディ、溢れ出るロマンティシズムにウットリしてしまいました。
ところがそれだけではないのがこのトリオの凄いところ。本作を聴いたとたんにまず強く感じたのは、彼らの並々ならぬ求心力です。3者の目指すところは同じで、そこへ向かってまっしぐらに突き進んでいく。それぞれの視点が少しもずれていないのですね。それはもう、3人の「とりゃーっ!」ていう声が聞えてきそうなほどです(笑)ピアノが主役なのでしょうが三位一体と感じる場面も多く、演奏はもちろんハイレヴェル。で、それが端正なだけで終わっておらず、むしろ硬派だと感じるのは、決して守りに入らないで果敢な攻めの姿勢を常に崩さないから。音楽的冒険心といえばいいのか、チャレンジ精神といえばいいのか、そういうものを感じてしまうのです。だからこそ、彼らの演奏はダイナミックに躍動し、臨場感と迫力を伴って聴き手の心をぐっと掴んでしまい最後まで離さない。まあ厳しく申せば、ごく僅かに荒削りな箇所もあるにはありますが、そんな細かいことはどうでもよろし。少々大袈裟かもしれませんが、私はジャズを聴いて久々にわくわく感を味わいましたよ。なんというかもう、ヒャッホーッ!って感じです(笑)
本作の録音年月日は不明ですが、リリースは2006年6月です。全10曲中9曲を書いているピアニストのPAOLO PALIAGAはすでにリーダー作を何枚かリリースしていますが、ALBORAN TRIOとしてはこれが初の作品。オリジナル曲はいずれも素晴らしい出来で、PAOLO PALIAGAの作曲とアレンジのセンスが光ります。録音も良好で、特にベースの音が生々しく響いてくれるのが嬉しいところ。
1曲目のNIC'S ROADを聴いて1分少々で、哀愁、叙情といった言葉が頭に浮かびます。のっけから美しいメロディラインに身をよじりつつ、芳しくも耽美的な演奏に溺れちゃってください。
2曲目のBALKAN AIRは、ドラマティックなイントロで聴かれるベースのアルコが印象的。ピアノによる特殊奏法の音色の美しさ。複雑で色彩豊かなラインをたどるベース。原始のビートを刻むドラムス。3者の演奏が一体化して音の壁となり、それが眼前に立ち現れてくるかのような迫力。ついついヴォリュームを上げて聴いてしまうのです。
3曲目のPIANISSIMOは、しっとりとして音数少なく美しいメロディが実に印象的。よく歌うベースソロを経て演奏されるピアノのソロも良いけれど、そのピアノにからみつくようなベースもいろいろ複雑なことをやっていて聴いていると実に面白い。
4曲目のCINQUE LUNGHISSIMI MINUTIも優美なメロディが◎。ここでふと思ったのですが、PAOLO PALIAGAのピアノのルーツは、ひとつには、やはりBILL EVANSということになるのかなと思います(私、若葉マークが取れたばかりのジャズファンなので、あてにしないでね)。で、この曲でもついついベースに耳が行ってしまう。ベースソロでは高音域のピッチが僅かに甘いと感じるものの、それを補って余りあるセンスの良さと力強いビートで十分お釣りが来るのです。
5曲目のDUENDEは、どこかドキュメンタリー映画作品を思わせる。聴きどころは、アルコによるベースソロが、手負いの獣がのた打ち回るような凄みを感じさせて呻き、咆哮する場面。ダークで耽美的でドラマティック。緊張感に満ちて、官能美をも滲ませる1曲。これも、ついヴォリュームを上げて聴いてしまう。
6曲目のHOY ES MANANA ?は、4ビートを刻むドラムス、かなり自由奔放なベース、モードがちらつくピアノといったアンサンブルが徐々にスウィングしてくる。かっこええのです。
8曲目のMELTEMIは、アップテンポでドラマティックなテーマが印象的。中間部の変化と陰影に富んだスリリングな展開がエネルギッシュで聴き応え満点。
あとの曲は省略しますが、このアルバムの曲は全部良いです。私は何べん聴いても飽きないですね。
本作の演奏で特に注目してしまったのはベースのDINO CONTENTI。本作では彼のベースソロもたっぷりと聴けます。ハイポジションのピチカートではごくたまにピッチが甘いと感じることもありますが(アルコでは問題無し)、それを補って余りある歌心、縦横無尽に大胆なラインを取る思い切りの良さ、力強いビート感、柔軟性と繊細さ、多彩なアイディアがあり、聴き応え満点で面白く、実に素晴らしいと思いました。
60分ちょうどという時間に中身の濃い演奏がぎっちりと詰まっており、洗練を極めたコンテンポラリーで上質な欧州ピアノトリオ作品となっています。
*どうでもいいオマケ
いや~、皆さん、こいつぁー素晴らしいトリオです。個人的には2006年度のベストテン入りを果たすかもしれないほど気に入っております。
さて、恒例の唸るピアニストシリーズとまいりましょう。
1.「ユニゾってますね」的唸り声:ちゃんとピアノの演奏とユニゾンになっている唸り声。
2.「ご機嫌ですね」的唸り声 : 本人はきっとユニゾンのつもりだが、
実際にはぶら下がっていたり大きく音が外れている唸り声。
3.「もしもし、悪夢にうなされてますか?」的唸り声 : ピアノの音とは全くかけ離れた、
悪夢にうなされているかのような唸り声。
4.「救急車呼びましょか!?」的唸り声 : 明らかに尋常ではなく、一刻を争う場合の唸り声。
うむ、PAOLO PALIAGAは、レベル3.の「もしもし、悪夢にうなされてますか?」的唸り声 : ピアノの音とは全くかけ離れた、悪夢にうなされているかのような唸り声 ...でしょうか。でもしょちゅうではないですしレベル2.も混じってます。それから本作ではベースのDINO CONTENTIもけっこう唸っておりますよ。唸るジャズミュージシャンは演奏が上手いっていう法則は、あるのかなあ?
1.「ユニゾってますね」的唸り声:ちゃんとピアノの演奏とユニゾンになっている唸り声。
2.「ご機嫌ですね」的唸り声 : 本人はきっとユニゾンのつもりだが、
実際にはぶら下がっていたり大きく音が外れている唸り声。
3.「もしもし、悪夢にうなされてますか?」的唸り声 : ピアノの音とは全くかけ離れた、
悪夢にうなされているかのような唸り声。
4.「救急車呼びましょか!?」的唸り声 : 明らかに尋常ではなく、一刻を争う場合の唸り声。
うむ、PAOLO PALIAGAは、レベル3.の「もしもし、悪夢にうなされてますか?」的唸り声 : ピアノの音とは全くかけ離れた、悪夢にうなされているかのような唸り声 ...でしょうか。でもしょちゅうではないですしレベル2.も混じってます。それから本作ではベースのDINO CONTENTIもけっこう唸っておりますよ。唸るジャズミュージシャンは演奏が上手いっていう法則は、あるのかなあ?
御用とお急ぎでないかたはALBORAN TRIOのHPへどうぞ。
http://www.alborantrio.com/
PAOLO PALIAGAのHPはこちら。
http://www.paolopaliaga.it/
DINO CONTENTIのHPもありました。
■ALBORAN TRIO / MELTEMI (ACT Music+Vision ACT 9448-2)
PAOLO PALIAGA (p)
DINO CONTENTI (b)
GIGI BIOLCATI (ds)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)