MOUTIN REUNION QUARTET / SOMETHING LIKE NOW | 晴れ時々ジャズ

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日々の雑感とともに、フランスを中心に最新の欧州ジャズについて書いています。

双子のMOUTIN兄弟(1961年12月24日、フランスのパリ生まれ)を双頭リーダーとするMOUTIN REUNION QUARTETの3作目です。偶然ですが、兄のFRANCOIS MOUTINはTHE SYNERGY LIVE 2003(東京)のJEAN-MICHEL PILC TRIOで、弟のLOUIS MOUTINはアトリエ澤野コンサート2004(大阪)のGIOVANNI MIRABASSI TRIOでそれぞれの演奏を聴く機会がありました。
本作は、PRYSMというユニット名のピアノトリオ等で注目しているピアニストのPIERRE DE BETHMANN(1965年、フランスのボローニュ・ビランクー生まれ)が新たに参加ということで購入。
2作目から参加のRICK MARGITZA(1961年10月24日、デトロイト生まれ)はリーダー作もたくさん出していて、昨年はBOHEMIAというタイトルの民族色濃い毛色の変わったリーダー作を出しています(実はちゃんと聴いていない)。

この4人はそれぞれに実力のある人たちですから演奏は折り紙付き。全11曲のうちCHARLIE PARKERのメドレーを除き、あとはMOUTIN兄弟のオリジナル。都会的で近未来志向の、ダイナミックな演奏を聴かせている本作品の傾向は1作目と2作目(なぜかどちらも持っていたり)の印象と大きく変わっていませんが、少しずつ進化しているのではという気がします。
3曲目のMOUTIN兄弟のデュオで演奏されるBIRD'S MEDLEYは、BIRDことCHARLIE PARKER(as)のメドレーらしいのですが、曲名までは分かりません(-_-;) LOUISが素手でドラムを演奏する、楽しげで緊張がほぐれる曲で、兄弟だけに息の合った演奏はさすがです。そういえば、1作目と2作目にもこういう趣向のデュオがありましたし、昨年のGIOVANNI MIRABASSI TRIOの公演でも、スタンダード曲のYESTERDAYSではLOUISが素手でチャチャチャのリズムを打ち出し、その視覚効果もあいまって会場が盛り上がっていました。
軽やかな7曲目のTOMCATはLOUIS MOUTINの作曲。RICK MARGITZAとPIERRE DE BETHMANNのソロが聴き応えあります。
FRANCOIS MOUTIN作曲のECHOINGは、クリスタルのように響く高音域のベースを効果的に配し、ベースラインが特に際立っている美しいナンバー。ガンガンに攻めまくるエキサイティングな曲よりも、どちらかといえばこの7曲目や8曲目のように落ち着いた雰囲気の曲のほうが私は気に入っています。
エキサイティングな9曲目のBOTTOM LINE-PART 1とPART 2は1拍の1/4のところで入るアクセントが気持ち良く、FRANCOIS MOUTINのベースワークが凄いです!
あの~...少々厳しいことを申しますと、楽曲がいまひとつ練られていないのと(3作通して聴くと)テーマが似たり寄ったりの印象やなぁという感じがしないでもありません。しかしながら、変拍子を取り入れ、無機的でかっこ良いフレーズやリフが満載の凝った曲作りで演奏そのものは良いですので、硬派で男前なジャズがお好きなかたはエキサイティング出来てよろしいのではないか。

それにしても、この人たちの演奏はおうちでCD聴くんじゃなくて、ライヴのほうが断然迫力があって面白いと思いまーす!!はいはい、分かっていますとも。どうせどこも招聘してくれそうにないってーことは。
FRANCOIS MOUTINは癖のあるプレイヤー(あるいは楽曲)にも臨機応変に反応出来る勘の鋭さがありますし、速いパッセージや重音を楽々と弾きこなす変幻自在な演奏はかなりのもんです。ついついベースに耳がいってしまう私にとっては、この作品でFRANCOIS MOUTINのベーシストとしての素晴らしさを再認識させられることになったしだいです。
御用とお急ぎでないかたは↓MOUTIN REUNION QUARTETのホームページへどうぞ。
             http://moutin.com/

■MOUTIN REUNION QUARTET / SOMETHING LIKE NOW (NOCTURNE NTCD375)
FRANCOIS MOUTIN (b)
LOUIS MOUTIN (ds)
PIERRE DE BETHMANN (p, Fender Rhodes)
RICK MARGITZA (ts)
入手先:キャットフィッシュレコード(通販)