そら     6話 | ほのぼのりんご日和。

ほのぼのりんご日和。

他愛もない日常の戯言。

‘今日空いてる?空いてたら、またいつもの場所にて午前10:00’

カチカチと私の打つメールの音が響く。

「あんたなんかもう親でもなんでもないわよ!!!!」

あの後、今日はもう帰ることになり、連絡先だけ交換して家に帰ってきた。

念のため叔母さんには何も言っていない。

心配するといけないからね。

でも、もう会いたくないなぁ~。

しかも、すんごくタイミングの悪いときにかぎって会っちゃうし・・・。

ピリピリピリピリ・・・・・・。

「うわぉ・・・。」

昨日のことを思い出していると、いきなりケータイがなった。

早い・・・。

昨日のこともあって、誰かに話さないと気が済まないと思った私はやっぱり、星那にメールしてしまった。

本当は一番会いたくなかった人だけど、そんな気持ちと裏腹に、手が動いてしまっていた。

‘分かった!俺は今から行くけど、夏空は間に合うの?’

そういえば、こんなに時間早めたけどもう9:30だ。

間に合うかな・・・。  間に合うよね!

‘私も今から家を出ます。どうしても相談したいことだったから、急かしたんだけど、私が間に合わないかもww’

そう打ちながらも、家を出た。

ガタンッガタンッ

車内は私だけ・・・。

やっぱり土日でも夏北に行く人は少ないみたい。

だよね・・・。だいぶ田舎だもんな。

(夏北~。夏北~。停車しま~す。)

私は二週間ぶりに夏北に降りた。

手には、ケータイと・・・・・・・・・、を持って。

「夏空っ!」

ぼーっと空を眺めていると、後ろから声がした。

「星那・・・・。」

いつのまにか、二人とも呼び捨て。

まぁ、このほうが親近感が持てるしいいよねぇ~。

「星那・・・。実は昨日父親にたまたま会ったの。でね、全部話したよ。今までの事。」

「それで?」

いつもよりちょっと低い声で、星那は聞き返してきた。

「私、頭にきちゃってさ、言っちゃった・・・。親でもなんでもないって・・・。ねぇ~。よかったのかなぁ~。」

空を見つめてできるだけ星那を見ないように言った。

けど、無駄だった・・・。

「そっか~。苦しかったでしょ?辛かったでしょ?泣いてもいいんだよ?」

すごくすごく優しい声で、そう言われた。

「せっ・・・いな・・・。私もう一回、父親に会って、話し合ってくるね。」

私は、初めてのをついた。

「うん!行っておいで。それで解決しておいでよ。」

本当は気づいてほしかった。

一緒にきてほしかった。

でも星那には分からなかったんだよね。

ごめんね。

「じゃあ。話したかったのはそれだけだから。バイバイ。ももとお幸せに・・・・。」

本当は気づいてほしかったよ・・・。

私が死にに行こうとしてるいことに・・・・。


「あっ。お父さん。昨日はごめんね。今日空いてる?ちょっと会いたいんだけどいい?」

『あ?いいよ。どこで話したいんだ?』

「ビジネスホテルがいいな。」

『?まぁ。いいぞ』

「ありがとぅ。じゃあ西駅の近くにある、ホテルね・・・。」

電車の中で私は考えた。

どう考えても父が素直にコレを飲んではくれないだろう・・・・と。

「お待たせ・・・。」

「あ、あぁ。じゃ行くか。」

ビルの前に父が居た。

「ごゆっくりどうぞ~」

ごゆっくりかぁ~・・・・。

うん。言われなくても今から楽になるから・・・。

「お父さん・・・。今・・・楽しい?」

部屋に入って一番最初に私は言った。

「あぁ。楽しいよ。新しい家族もいるし。夏空はどうなんだ?」

新しい家族・・・。

今の私には残酷過ぎる言葉だ・・。

「ふふふふふっっ。あははははっ。」

笑いが出てきた・・・。

もう頭狂っちゃったよ・・。

「何だよ。気味悪いなぁ」

いやそうな顔で私を見るアイツ。

もういやだよ。

「私ね・・・。もういやなんだ。何もかも・・・。死にたいんだ。」

「は?何言って・・・」

眉をひそめるアイツをよそに私は、ポケットから薬ビンを取り出してアイツの前に差し出した。

「なっ・・・何するともりだ。」

何するつもり?

てかこうなったのもほとんどあんたのせいなんだよ。

「お父さん・・・。私と死なない?」

そう言うとアイツは必死に部屋から出ようとした。

でも焦りすぎて,無駄にガチャガチャとドアノブを回している。

カランカラン

手のひらには30粒ほどの睡眠薬。

「ねぇ。これなら、楽に逝けるよね?」

そう言いながらアイツの口に手を近づけた。

「やっ、やめろ・・・」

「ほら飲んでよ。あんたが飲まないと私死なない・・・・・・・「夏空!」

バタンッと激しい音が部屋に響いた。

「星那?」

激しく荒い息づかいから急いで来てくれたのだろう。

「何やってんだよ・・・。」

「こっ・・・これはその・・・」

何も言えずにいると

「星那!?何やってるんだこんなところで」

さっきとは別人のように強い口調で星那にアイツは怒鳴った。

「お、親父?・・・・・」

え?星那今こいつのこと親父って・・・。

「ごめんなさい。すぐもどります。」

「はっ、早く戻るんだぞ」

私がキッと睨むと慌てて部屋を後にした。

二人になった部屋で、星那が言った。

「参ったな・・・。お前の父親が俺の親父なんて。俺はあいつらに貰われたんだ。けど、今でも後悔してる。ここにくるんじゃなかったって。毎日毎日虐待されて大変だったよ・・・。

でも。夏空お前死のうとしてたんだろ。」

もう嘘はつけない。

こんな綺麗で澄んだ瞳で見つめられたら・・・。

「うん。お父さんにも死んでもらいたかったの・・・。どうしても・・・。」

俯きながらそう言ったときだった。

ふわっと星那は私を包むようにして抱きしめてくれた。

「死なないで・・・。夏空・・・。俺は・・・」

俺は?何?

「なんでもない・・・。行こうか・・・。」

ねぇ。星那なにを隠してるの?

星那・・・・。 私はあなたのことこんなに好きなんだよ?

ポツポツ・・・・・・。ザァーーーーーー。

「雨だ・・・・。」

ビルを出たところで激しい雨が降ってきた。

好きだよ・・・・。

好き・・・。

もう。いいや。

この雨で聞こえなくてもいいよ。

でも、できるなら聞こえてて・・・。


星那・・・貴方は私のことどう思ってる?