‘今日空いてる?空いてたら、またいつもの場所にて午前10:00’
カチカチと私の打つメールの音が響く。
「あんたなんかもう親でもなんでもないわよ!!!!」
あの後、今日はもう帰ることになり、連絡先だけ交換して家に帰ってきた。
念のため叔母さんには何も言っていない。
心配するといけないからね。
でも、もう会いたくないなぁ~。
しかも、すんごくタイミングの悪いときにかぎって会っちゃうし・・・。
ピリピリピリピリ・・・・・・。
「うわぉ・・・。」
昨日のことを思い出していると、いきなりケータイがなった。
早い・・・。
昨日のこともあって、誰かに話さないと気が済まないと思った私はやっぱり、星那にメールしてしまった。
本当は一番会いたくなかった人だけど、そんな気持ちと裏腹に、手が動いてしまっていた。
‘分かった!俺は今から行くけど、夏空は間に合うの?’
そういえば、こんなに時間早めたけどもう9:30だ。
間に合うかな・・・。 間に合うよね!
‘私も今から家を出ます。どうしても相談したいことだったから、急かしたんだけど、私が間に合わないかもww’
そう打ちながらも、家を出た。
ガタンッガタンッ
車内は私だけ・・・。
やっぱり土日でも夏北に行く人は少ないみたい。
だよね・・・。だいぶ田舎だもんな。
(夏北~。夏北~。停車しま~す。)
私は二週間ぶりに夏北に降りた。
手には、ケータイと・・・・・・・・・、薬を持って。
「夏空っ!」
ぼーっと空を眺めていると、後ろから声がした。
「星那・・・・。」
いつのまにか、二人とも呼び捨て。
まぁ、このほうが親近感が持てるしいいよねぇ~。
「星那・・・。実は昨日父親にたまたま会ったの。でね、全部話したよ。今までの事。」
「それで?」
いつもよりちょっと低い声で、星那は聞き返してきた。
「私、頭にきちゃってさ、言っちゃった・・・。親でもなんでもないって・・・。ねぇ~。よかったのかなぁ~。」
空を見つめてできるだけ星那を見ないように言った。
けど、無駄だった・・・。
「そっか~。苦しかったでしょ?辛かったでしょ?泣いてもいいんだよ?」
すごくすごく優しい声で、そう言われた。
「せっ・・・いな・・・。私もう一回、父親に会って、話し合ってくるね。」
私は、初めての嘘をついた。
「うん!行っておいで。それで解決しておいでよ。」
本当は気づいてほしかった。
一緒にきてほしかった。
でも星那には分からなかったんだよね。
ごめんね。
「じゃあ。話したかったのはそれだけだから。バイバイ。ももとお幸せに・・・・。」
本当は気づいてほしかったよ・・・。
私が死にに行こうとしてるいことに・・・・。
「あっ。お父さん。昨日はごめんね。今日空いてる?ちょっと会いたいんだけどいい?」
『あ?いいよ。どこで話したいんだ?』
「ビジネスホテルがいいな。」
『?まぁ。いいぞ』
「ありがとぅ。じゃあ西駅の近くにある、ホテルね・・・。」
電車の中で私は考えた。
どう考えても父が素直にコレを飲んではくれないだろう・・・・と。
「お待たせ・・・。」
「あ、あぁ。じゃ行くか。」
ビルの前に父が居た。
「ごゆっくりどうぞ~」
ごゆっくりかぁ~・・・・。
うん。言われなくても今から楽になるから・・・。
「お父さん・・・。今・・・楽しい?」
部屋に入って一番最初に私は言った。
「あぁ。楽しいよ。新しい家族もいるし。夏空はどうなんだ?」
新しい家族・・・。
今の私には残酷過ぎる言葉だ・・。
「ふふふふふっっ。あははははっ。」
笑いが出てきた・・・。
もう頭狂っちゃったよ・・。
「何だよ。気味悪いなぁ」
いやそうな顔で私を見るアイツ。
もういやだよ。
「私ね・・・。もういやなんだ。何もかも・・・。死にたいんだ。」
「は?何言って・・・」
眉をひそめるアイツをよそに私は、ポケットから薬ビンを取り出してアイツの前に差し出した。
「なっ・・・何するともりだ。」
何するつもり?
てかこうなったのもほとんどあんたのせいなんだよ。
「お父さん・・・。私と死なない?」
そう言うとアイツは必死に部屋から出ようとした。
でも焦りすぎて,無駄にガチャガチャとドアノブを回している。
カランカラン
手のひらには30粒ほどの睡眠薬。
「ねぇ。これなら、楽に逝けるよね?」
そう言いながらアイツの口に手を近づけた。
「やっ、やめろ・・・」
「ほら飲んでよ。あんたが飲まないと私死なない・・・・・・・「夏空!」
バタンッと激しい音が部屋に響いた。
「星那?」
激しく荒い息づかいから急いで来てくれたのだろう。
「何やってんだよ・・・。」
「こっ・・・これはその・・・」
何も言えずにいると
「星那!?何やってるんだこんなところで」
さっきとは別人のように強い口調で星那にアイツは怒鳴った。
「お、親父?・・・・・」
え?星那今こいつのこと親父って・・・。
「ごめんなさい。すぐもどります。」
「はっ、早く戻るんだぞ」
私がキッと睨むと慌てて部屋を後にした。
二人になった部屋で、星那が言った。
「参ったな・・・。お前の父親が俺の親父なんて。俺はあいつらに貰われたんだ。けど、今でも後悔してる。ここにくるんじゃなかったって。毎日毎日虐待されて大変だったよ・・・。
でも。夏空お前死のうとしてたんだろ。」
もう嘘はつけない。
こんな綺麗で澄んだ瞳で見つめられたら・・・。
「うん。お父さんにも死んでもらいたかったの・・・。どうしても・・・。」
俯きながらそう言ったときだった。
ふわっと星那は私を包むようにして抱きしめてくれた。
「死なないで・・・。夏空・・・。俺は・・・」
俺は?何?
「なんでもない・・・。行こうか・・・。」
ねぇ。星那なにを隠してるの?
星那・・・・。 私はあなたのことこんなに好きなんだよ?
ポツポツ・・・・・・。ザァーーーーーー。
「雨だ・・・・。」
ビルを出たところで激しい雨が降ってきた。
好きだよ・・・・。
「好き・・・。」
もう。いいや。
この雨で聞こえなくてもいいよ。
でも、できるなら聞こえてて・・・。
星那・・・貴方は私のことどう思ってる?