そら     4話 | ほのぼのりんご日和。

ほのぼのりんご日和。

他愛もない日常の戯言。

転入して初めての週末。

私は1週間ぶりに夏北市に帰ってきた。

ももには色々一人で行くのは危ないとか言って、結局付いていくはずだってのに御稽古で行けなくなった。なにやってんだか・・。

でもまぁ~。私も結局のところ一人で来たかったわけだし、よかったのかな?

(夏北~。夏北~。停車しま~す。)

私の隣に置いたバックを片手に車内から降りた。

ミーンミーン・・・・ミーンミーン

9月の始め。まだまだセミが泣き止むには早い時期。

まだ向日葵あるかな。

「いらっしゃいませぇ~・・・・・あらっ。夏空ちゃんじゃない?どう?新しい学校は。」

「楽しいですよぅ~」

前の家の近所で小さい頃からお母さんとお世話になってたお花屋さん。

「今日は何がほしいのかな?」

「向日葵ありますか?」

「うん。何本?」

「20本ください。」

おばさんは新聞紙に向日葵を包みながら言った。

「お母さんのお墓に行くのかな?」

「あっ、はい。手入れにいってきます。」

「はい。出来上がり!いってらっしゃい!お母さんも喜ぶわよ。」

最後まで笑顔で見送ってくれたおばさんと別れて、ちょっと山の中へ進んだ。

お母さんが向日葵を好きな理由・・・・・。

それがとても小さい頃ころの私にとってはすごく残酷だった。

『なんでお母さんは向日葵が好きなの?』

『ん?夏空、この向日葵をよーく見てみて・・・。』

『じぃ~~~~~~~~・・・。』

『向日葵ってお父さんに似てると思わない?暑い中で必死に上に上に伸びようと誰も知らない間にがんばろうとしているところとか。見てるだけで、自分もがんばろうって勇気をくれるところとか。

だから、お母さんは向日葵が好きなの。』

幼いながらに小さな小さな抵抗・・・。

『そ、そうかなぁ~・・・・?』

心の奥そこではすべてを否定してた・・・。

いつまでお母さんはあんな人思っているの?

もう戻ってこないよ・・・。あの人は。

でm、おそれでも私はお母さんと一緒に居るために、お母さんに肯定してきた。

すべてはお母さんがすこしでもあの人のことで苦しむのを避けるために。

「お母さ~ん!夏空ですよぉ~。・・・・・・」

いくら話しかけても返答が返ってくることはないなんてそんなの分かりきってる・・・。

「あのね・・・。ちゃんとね、あっちの学校でもお友達できたよ。ももって言うの・・。毎日楽しいよ。叔母さんのご飯もおいしいし・・・・。」

向日葵を10本ずつお墓に供えてにっこり微笑んだ・・。

「さてと・・。じゃぁまた来るね。」

これで私の用事終わっちゃった・・・。

ちょっとだけ・・ちょっとだけ・・・と自分にいい聞かせて私はあの場所に行った。

林をぬけて私は一人草原に立った。

「あぁ~~~~~~~・・・。来てないっか・・・。」

ここにくればって・・・・・・ね。

だよね・・。来るはずないもん。

でもちょっと期待してたなぁ~。

一人立ち尽くす私の後ろで林がさらさらとなる。

とっさに振り向くとそこには・・・・

「はぁはぁはぁ・・・。やっぱり今日・・・来てたね・・・。」

やけに荒い息。なのになぜかその人は笑顔だった。

「な・・・んで?」

星那くん・・・なんであなたはここにいるの?

来ないって思ってたのに・・・。

「夏空ちゃんが居る気がして・・・。」

そんなの・・・・。

「理由になってない・・・・。」

うれしかった。

もう二度と会えないって・・・。

思ってた・・・。

「新しい学校はどう?」

私の隣に座っ星那くんは言った。

「楽しいよ。友達もできた。」

私も星那くんの隣に座りながら言った。

「ももって言うんだよ。」

ただ、なんとなく名前も言ったほうがいいかな~なんてそのくらいの気持ちだった。

はずなのに・・・。

「も・・・も・・?」

星那くんは以上にももの名に反応していた。

「どうしたの?」

「いや・・・。夏空ちゃんのおばさんの家って・・・・」

「長谷田だけど?」

そう言うとますます星那くんは黙り込んだ。

「ももって・・・まさかって思うけど、青木?」

え。なんで星那くんが・・・。

「って。なわけないかぁ~。偶然だよ・・・「そうだよ。青木桃だよ。」

「え・・・。」

星那くんの顔が一瞬曇った。

「なんで星那くんがももを知ってるの?」

そう聞くと星那くんは話し始めた。

「ももの過去知ってる?」

「うん」

「それじゃ簡単だね。俺も昔親に捨てられたんだ。孤児院に預けられたとき一番最初に仲良くなったのがももだった。でもももは結構病弱でね・・・。いつも俺はそばにいていつ倒れても大丈夫なようについてたんだ。でも、ももは7歳になってすぐに青木グループの社長に連れていかれた。

でも、そのとき約束したんだ。

『離れていても、手紙交換をしよう』って。

今、ももは俺の彼女。」

ジリジリと胸が痛んだ。

「そーだったんだ・・・。この前ねももの家に遊びに行ったとき、星那くんからメール着ててすごく・・・・喜んでたよ・・・・。」

「ホント!?よかったぁ~」

そう言って喜ぶ星那くんの笑顔が胸に突き刺さった。

「あ。あたしもう帰るね。メアド交換しない?」

「うん。いいよ」

「バイバイ~」

もう二度と会うことはない気がして・・・。

怖かった。

あの優しい笑顔が私に向けられることはもうないんだ。

私たちの間には、すべての運命を変えてしまいそうな強い風が吹いていた。