超回復理論 | 筋肉ドクターの気まぐれ日記

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Killing Timeに日記を書き候

 

 

 

息子が学校で超回復理論を習ったと言っていた。

私が学生の頃はそんなのを学校で習ったか記憶に無いが。

 

しかし、私は超回復理論は空想であり仮説であり屁理屈だと思っている。

 

で、私が何故超回復理論についてそう思うか説明してみよう。

 

筋トレらしい高強度な運動をすると筋肉が大きく筋力がつく現象がある。

で、これは環境への適応によるものだろうと識者が考えた。

これは私もそう思う。

 

で、その筋肉が環境への適応を起こすのはどの様なメカニズムだろうかと科学者が空想を働かせた。

筋トレをやった直後はみんな力が出ない状態になっている。

だから、きっと筋肉が怪我まではいかない微細な損傷があるのだろうと。

これを研究者たちは電子顕微鏡で見ると筋肉の微細な損傷があるのだの無いだのと議論している。

 

で、ここで私が思うことだが、車が動かなくなった時に、まず思うのはガソリン切れだろう。

ガソリンが無くなれば車は故障していなくても動かない。

要するにエネルギーが枯渇すると動けなくなる。

でも、この理論だとその後筋肉が更に強くなる根拠を示せなくなるから、どこかが故障してくれないと困ると思ったのかもしれない。

 

で、その微細な損傷の治癒を超えて回復する超回復というものが起こるから筋肉は強く大きくなるのだと。

まあ、確かに皮膚は刺激されると胼胝になったりするわけだが、それは皮膚がいちいち擦り切れて傷にならないようにという適応であり、微細な損傷が角化を促進しているという屁理屈が正しいかどうか分からない。

逆に毎日血が出るほど皮膚を擦ってもなかなか胼胝にもならないでしょう。

何でも損傷からの超回復で考えるのが正しいとは思えない。

じゃあ、レバーパンチを受け続けたボクサーの肝機能は良くなるのかと。

適応を無視して何でも揉んだり擦ったり叩いたりしたら良くなるなんてことはあり得ませんよね。

 

この超回復理論を拡大して空想したのが故・鳥山明先生でありドラゴンボールのサイヤ人でしょう。

死ぬくらいボコボコにやられると更に強くなると。

しかし現実世界の人間は、大怪我を繰り返すと強くなるどころか障害が残り、障害者になるのが関の山でしょう。

 

しかし、この超回復理論を信じ、ジムの主みたいになって追い込み続けて筋肉を痛めるだけではなく、関節も変形しているのに大して強くも成れていないという人も見かけたことがあります。

 

そんなできるだけギリギリまで動けなくなるまで完膚無き迄に運動することよりも、どういう適応を引き出したいのか、そのためにどういう運動が最適かと考えれば良いのであって、そのメカニズムは超回復理論だから追い込むのだってやると、間違ったことになりますよと。


何事も現実的に単純に見える話で考えないと、間違える元になりますよ。


こういう、(私にとって)空想の屁理屈仮説を、まだ現実がよく分かっていない学生に刷り込むのはいかがなものかと思いますね。


まあ、科学的には理論は全て仮説なわけですが、そこから教えないから変な科学が横行するんでしょうね。