『仮面舞踏会』横溝正史
とうとう手を出しちゃった。
横溝正史。
八つ墓村とか、犬神家の一族とか、悪魔が来りて笛を吹くとか、獄門島とか、有名処から攻めるのもいいかと思ったけど、なんとなく『仮面舞踏会』。
このお話は、犬神家の一族とかみたいに、血みどろの死体とか異様な風体の死体とかはあんまり出てこないけど、読み終わったあと、隠されたどろどろの人間関係諸々を思い出して夜眠れない感じにはなった。
パズルのピースが最初はパラパラと読者に与えられて、それが人の行動とか人間関係・血筋・歴史とかの細い糸でつながっていく。
仮面舞踏会、の意味が最後にどんどん明らかにされていく。
それがぞっとする感じで。
もうね、ほんとに人間って怖い…と思う。
この話はかなりな部分、女性たちが主役のように思えたかな。
仮面をかぶせられた少女、が主人公の…
最後に、男性陣にも仮面をかぶった人は登場するけど、そっちはなんだか純粋なものな気がした。というか敢えてどろどろしたものにまみれさせずに作者が書いたんだろうな、と思った。
犯人とかは、ストーリーの結構早めにこういうことなんじゃ、と予想はできる。
でも、詳細が明らかになると、分かっていても、その原因とか動機とかにぞっとする。
主人公はメイ探偵金田一耕助。
よく映画とかドラマとかで再現されている格好がそのままだった。
もじゃもじゃ頭で、考え込んだり興奮?したりすると、頭を掻きまわす。フケが飛ぶわ唾も飛ぶわ、って若干引く感じでww
時代背景が戦後の昭和35年あたり。
ここも話の中では重要なポイント。
この時代ならではの…
舞台が軽井沢で、皇太子と美智子さまが~みたいな場所の紹介があったりして。
ここで言う皇太子は今の天皇だもんな。
ちなみに、この一つ前に読んだ『臨床犯罪学者火村英生の推理Ⅰ 46番目の密室』でも、皇太子、って出てきたけど、この皇太子は今の皇太子だな。と関係ないことを思った。
次に、横溝正史を読むなら、何にしようかな~~。
有名なの、というか私も知ってる作品にも手を出してみようかな…
全く知らないのも読んでみたい気も。
で、もう一冊の感想。
有栖川有栖の『臨床犯罪学者火村英生の推理Ⅰ 46番目の密室』で、角川ビーンズ文庫から出てるもの。
挿絵付で、なんというか火村先生と有栖のコンビに萌える女性向け、って感じが強い。
新幹線に乗るのに暇つぶしで買ったけど、家に帰ったら、昔講談社から出てる『46番目の密室』持ってた!
まじか。
だからか~。話を読んだことある感じがした。買う時に全く気がつかなかった件ww
初見が中学生くらいの時だから、主人公有栖川有栖がどうしても冴えないおじさんにしか思えなくて。
どおりで、せっかく挿絵つきで、火村先生も有栖もイケメン風に書いてあるのに、あんまり萌えない…と思うはずww
斉藤工主演でドラマ化もされてるから、同じお話だと思ってなかった…
というか以前は有栖川有栖の国名シリーズ、みたいな感じで出版されてたからな。
それが角川ビーンズ文庫からは、明らかそっち方面の女性ウケ狙ってる感じが…w
火村英生の推理、ってとこが題名でも強調されてるし。
そう思うと、作者のあとがきがちょっとおもしろい。
携帯もパソコンもない時代の作品が、なぜまた文庫化されたのかについて。
「謎解きは古くならないから」であってほしい、と作者が思っているなら、そうなんだと思うww
横溝正史の作品を、おもしろいと思う感覚だって、やっぱり「謎解きは古くならないから」なんだと思うし。