今日はひさびさにず~っと読書。
その中で、宅急便事業を作り出した小倉昌男氏の「経営学」には、気になる文があった。
■ 社会に貢献するものでなければ、企業は社会的意義を持たないと思う。個人宅配のビジネスを考えたとき、短期的にはなかなか利益にならないことは明らかだった。しかし、儲からないからやめてしまうというのでは情けないではないか。
■ サービスとコストは常にトレ-ドオフの関係にある。サービス水準を上げればコストは上がり、コストを抑えればサービス水準も下がる。経営者の仕事とは、この問題を頭に入れ、そのときそのときでどちらを優先するかを決断することに他ならない。宅急便事業を始めるにあった手、私が決断したのは、「サービスが先、利益は後」ということだった。まずサービスを向上して、郵便事業と差別化をしなければ結局利益の上がる事業にはならないと考えたのである。
■ 私が唱える、「サービスが先、利益は後」という言葉は、利益は要らないといっているのではない。サービスを提供することに懸命の努力をすれば、結果として利益はついてくる。利益のことばかり考えていれば、サービスはほどほどで良いと思うようになり、サービスの差別化などできない。よって利益はいつまでもでない。
■ 私は、どんなものでもメリットだけのものはない、また逆にデメリットだけのものもないと考えている。どんなものにも、メリットとデメリットの両面があるとおもう。
これらの文章から思ったことは、
もし自分が事業を行うのであれば、それは社会に貢献するものでなくてはならない。ということは前からであるが、しかし、そのためには、たぶん他社のビジネスモデルの真似をした小銭稼ぎでは全く意味がないということ。社会的ニーズはあるが、社会的に不可能であると思われている(もしくは潜在的過ぎて、思われてもいない)ことに対して、真剣に考えつくした上で、新たなビジネスモデルをつくることができないのであれば、事業を起こすなどというのはただのマスターベーションでしかないかもしれない。そんな事業を作るとき、もちろん短期的なキャッシュフローが起こるものであれば望ましいが、そうでない初期のシステム構築に時間や投資が必要であるときに、「サービスが先、利益は後」という哲学的ともいえる思想と、徹底した差別化を追及するという経営者の決断が、不可能を可能にする原動力になるのかもしれないと感じた。