カンヌ国際広告祭 パート2:First Impression | 色塾BLOG-

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日々のビジネス・社会に対する思いや、起業に向けた考え、読書に対する感想など様々な話題を、海外で働くマーケターとしての第3者の視点から展開。

カンヌ国際広告祭から、以前はEARTH HOURについて書いたが、

ビジネス広告として「これはすごい!」と思ったのが、


メルセデスベンツ:First Impression



ROIが高い、すばらしいキャンペーンだと思う。


一応やった内容を僕が把握できた範囲内で説明すると、BMW/SAAV/Porscheとかの数々の高級な駐車車両に、上にあるような「ベンツマーク+試乗会招待状」を勝手に貼り付けていくものだ。


そして、ベンツマークがついた車両にのることで、まるで「ベンツ」を体験できるということになる。


僕は車のビジネスモデルについては詳しくないが、ここから予想するに、こういう高級車になってくると、

人々は「ブランド認知-->試乗-->購買」という経路をたどるのだろうと思う。そして、この「試乗」がビジネスのキードライバーにはなるものの、「試乗するには車のディーラーまでいかなければならないし、そこまでしてベンツに興味はないよ。」というところが1つの大きなバリアになっているのだろう。さらに、試乗誘引のためにかかる営業・販促費比率の低減が課題になっている等も背景にあるのかもしれない。


ベンツといえば、「ベンツのマーク」。このマークがついたものは「ベンツ」と思われるし、多くのベンツ購買者は、

性能はもちろんだが、「ベンツに乗っていると思われたい」がためにベンツを購入するのだという強力で当たり前なインサイトをついている。

「試乗するには車のディーラーまでいかなければならないし、そこまでしてベンツに興味はないよ。」と思っているが、同時に「ベンツ」を代表とした高級車の購入優先順位が「ブランド:高級車をのっていると思われること」である人にとって、「ベンツマーク+招待状」をあげるというのは、非常にユニークかつユーモアのあふれるキャンペーンになっていておもしろいと思った。


普段、僕がずっと行っているようなTVを中心とした広告キャンペーンはブランドを確立すると言う意味では必須に近いし、確かに非常に効果的であるが、コストも莫大にかかり、ROIとして高いとはいえない


さらに、TV広告キャンペーンでは、膨大な広告予算を出せる企業のみの戦いになり、そんなマンモス企業が戦う業界へは参入障壁が高すぎて、現実的に日本のほとんどの企業はその戦いには参加できないかもしれない。


そんな企業たちが、PR・マーケティングを駆使したゲリラキャンペーンを如何にインパクトをもってできるかというチャレンジは非常にわくわくするなあと思う今日このごろである。