外科手術による消化管内異物摘出(腸閉塞) | アイリス動物病院__________犬と猫の病気 & 看護師日記

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大阪府羽曳野市にある『アイリス動物病院』です。
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大切な家族であるわんちゃん、猫ちゃんが健康で長生きしていくためのお役に立てればと考えています。
是非ご覧下さい。

今回は、異物摂取により腸閉塞を起こしたため、外科手術を行った症例をご紹介します。

症例は11歳の女の子の柴犬です。

3日ほど前から食欲が全くなく、嘔吐をしているとの主訴で来院されました。

身体検査で腹部にシコリが確認されました。
血液検査では脱水による異常値が確認されました。

異物レントゲン
レントゲン検査では、シコリの部分に何かが写っています。
異物や腫瘍などが考えられます。

エコー検査でも消化管(小腸)内に何かが入っているように見られました。
エコー所見では腫瘍の可能性は低く、「異物」であると思われます。
しかし腸閉塞でよくみられる消化管内液体貯留は確認されませんでした。

飼主さんは異物摂取を確認されていませんでしたが、症状と各検査により異物摂取の可能性が高いと思われました。

通常消化管内異物摘出には、外科手術以外にも催吐処置、内視鏡による摘出などもありますが、今回の異物の位置からどちらも適用外と判断し、外科手術に踏み切りました。


ちなみに、それぞれの摘出方法の適応です。

◉催吐処置:異物が胃の中にあり、消化管を傷つけたり食道に引っかかる可能性が無い
◉内視鏡 :催吐出来ないもので、食道、胃、十二指腸にある
◉外科手術:催吐出来ないもので、内視鏡でつかめないサイズ、形。または十二指腸よりも奥に流れてしまっている


腸閉塞
外科手術により小腸に詰まっている異物が確認されました。

異物

摘出した異物は、2.5cmほどのおもちゃでした。

術後数日で退院し、今では元気に生活しています。


異物摂取は若齢のわんちゃんに多くみられますが、今回のように中高齢のわんちゃんでも飲み込んでしまうことがあります。
口に入る大きさのものや食べたら危険なものは、絶対に届かない場所に置くようにしましょう。



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