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IR担当者のつぶやき

上場企業に勤務する公認会計士の、IR担当者として、また、一個人投資家としての私的な「つぶやき」です。

ときどきIR担当者的株式投資の視点も。

新しいテーマとして「 旅・グルメ」シリーズを設定してみました。
ブログのプロフィールにも、自分へのごほうびとして「何かおいしいものを食べる」ことを掲げておりますが、いつしかスマホの中にも「おいしい写真」が増えてきました。
そこで、不定期に、時折、思い出しながら、時折リアルタイムに、都内でのおいしいもの、旅先でのおいしいものなどをご紹介してみようと思うわけです。

松重豊さんの「孤独のグルメ」シリーズならぬ、ir-manの「独りのグルメ」シリーズ、栄えある初回は・・・。

池袋 楊2号店の「汁なし担々麺」

こーんな感じの汁なし担々麺であります。

 
 
テレビのなかでは、店員さんが注文するときに辛さを確認していましたが、私が行ったときにはとくに何も聞かれませんでした。
普段から麻婆豆腐や担々麺は必ず辛めで頼んでいるので、こちらでもちょっとドキドキしながら辛めで注文。

見た感じ、辛めといっても、思いっきり花椒がまぶっているというわけでもなく、唐辛子の粉末でむせちゃう感じというわけでもなし。
極めてふつーに登場なのであります。
むしろ、麺のソフト麺的白さが目につき、「こんなんで刺激的辛さなのと思ってしまうくらい。

で、汁なし担々麺は、たいがいどのお店でも、「よく混ぜてお召し上がりください」と言われますので、こちらでもよーく混ぜ混ぜ・・・・。

色白の肌が、赤ーく染まっていきます。
すっかりナポリタンな見た目になったところで、おもむろにパクリ。

うーん、結構、ビリビリッと来ます。

2口、3口・・・と食べ続けていくと、来ました、来ました~、額から汗がドッ。
鼻水がブーッ。
普段辛いもの好きで辛めで食べているので、口から火を噴くということはありませんが、代謝の活発化はすぐに感じられました。

辛さのなかにも旨みが感じられる麻辣な味付けです。
また、山椒の香りとともに、口びるが痺れてきます。

量的にはそんなに多くはありませんが、辛いものが得意でない方は、なかなか食べ切るまでの道のりが遠いかもしれません。
私には、ちょっと量的に物足りなく思えました。旨いので、ついつい食べ進んでしまうんですね。

一緒に出てきた玉子スープや、コールスロー的な野菜サラダに避難することもあまりありませんでした。
次に来るときには、うんと辛めでもイケるかも・・・などと思ってしまいました。

お店の概観は場末の中華料理屋ふうな佇まいなので、おしゃれな四川料理店に常備されているような紙ナプキンなどはないようです。
とくにサラリーマンの方は、混ぜ混ぜする際や、絡まった麺を箸ですくう時の空振りに要注意です(笑)
私は、ワイシャツがやられました・・・。


惜しいのは、白いソフト麺な感じの麺。
私には、あまりコシが感じられず、個人的にはちょっともの足りない麺でした。

ランチでの利用でしたので、この一品だけいただきましたので、パリパリの羽根つき餃子や固い豆腐の皮を使った拌三絲(ばんさんすー)などは、食べておりません。
他のお料理もいただきに、また伺いたいお店です。
久々の書き込みです。
今年は結構いい調子で招集通知の作成や納品手配等が進み、有価証券報告書の作成もまぁ順調に進んでおりまして、多少余裕が出てきたものですから。

2012年頃からでしょうか、株主総会の招集通知を株主さん宛に発送する前に、自社Webサイトに掲載してしまおう、という会社さんが割と多くなってきています。

もともと3月決算会社が多い日本において、招集通知の早期発送は従来から機関投資家を中心に強く求められていたところです。
法定の2週間では、議決権行使のための検討期間は実質1~2日あるかないかだとか。
IRに積極的で先進的な企業さんでは、3週間前、4週間前は当たり前になりつつあります。

そうはいっても、紙の招集通知を校了して印刷して、株主名簿管理人(信託銀行など)で封入して発送して・・・というリアルの手続を考えると、どうしても限界があるもの。

Webサイトへの掲載なら、信託銀行が運営している議決権行使促進サイトやICJの議決権行使プラットフォームを通じて、機関投資家にほぼリアルタイムに伝達することができ、議決権行使のための検討期間を長めにとることができます。

ましてや、最近は「日本版スチュワードシップ・コード」など、機関投資家に対して、投資先企業との対話や、議決権行使結果の開示が求められるようになってきています。
結果、機関投資家さんのほうも、これまで以上に投資先企業に対するアクションと、委託元の年金基金等に対してアカウンタビリティ(説明義務)を十分に果たすことが必要になってきました。

こうした流れの中で、機関投資家との対話を重視するIR先進企業においては、別に違法でないのなら、株主総会の招集通知を発送前にWebサイトに掲載したっていいよね、ということで、早めにWebサイトに掲載するトレンドができつつあるわけです。

実際に、まだ発送してないとはいっても、信託銀行への納品は終わっており、封入作業の順番待ちで、カタログスペック的に言うと、信託銀行さんも4営業日ほしいとか、5営業日前デナイトダメとかおっしゃいます。
株主数がそんなにいなければ、機械封入で半日で終わる作業なはずなのに、ほぼ単に機械の順番待ちですよね。
その間、機関投資家さんにお預け食らわせておくのは、いかにも時間がもったいない

招集通知の発送前掲載は、極めて合理的な選択だと思います。

仮に、間違いが発見されても、よほど致命的でない限り、Webサイトへの正誤のアップでOKですし、逆に早めに正誤が発見されたほうが、株主総会の当日に株主からの指摘で判明して、役員さんからこっぴどく怒られるより、よほどいいじゃないですか(笑)



そんなわけで、当社も、検討してます。早期掲載。

ところで、取締役さんたちに一応説明しておかないといけないなぁと思い、東証からデータを引っ張ってきて、ちょちょいと加工してみました。
ネタは、東証の株主総会アンケート集計結果です。

■株主総会開催予定日一覧
 http://www.tse.or.jp/listing/sokai/shoshu/index.html

ここには、3月決算会社さんの総会開催日、招集通知の発送日、公表予定日が一覧になって掲載されています(これは東証が各上場会社にアンケート形式で回答を募ったものです)。

Excelですから、ちょいと加工すれば、いろんなデータが得られます。

とりあえず、先日数えたときには、2,090社が対象となっていました。
総平均の招集通知発送日は、18.2日前です。
つまり、法定の2週間前よりは前ですが、3週間前まではいってない、という微妙な感じ。
まぁ、全平均ならそんなもんでしょ。

そこで、発送日と公表日の差、どの程度早期掲載するのかをとってみました。
調査時点では、発送前の掲載企業は194社(全体の9.28%)でした。

どう思いますか、約1割の会社で、発送前のWebサイトへの掲載をしているという事実。
私は、「へぇ~、意外に多いんだ」と思いました。
適時開示などとは違って、招集通知などは、法務部門がかんできたりするので、かなり堅めの運用になるケースが多いと思いますので、もっと少なく5%くらいかなと思ってました。

次に、その早期掲載会社の平均掲載日をとってみると、(発送の)3.4日前となりました。
これも、意外に頑張ってますね。
やはり一番多いのは、発送前日で89社ありました。
2日前: 10社
3日前: 25社
4日前: 11社
5日前: 10社
6日前: 10社
1週間以上前: 39社

となります。
これも納得。当社も、信託銀行への納品は土日もありますから1週間前の予定ですもん。
つまり、このタイミングで、印刷会社(宝印刷やプロネクサス)から、招集通知のPDFファイルも納品されますから、「えぇい、同時にアップしてしまえ 」と。

結構、みなさん積極的にやり始めてるなぁと思います。

と、これだけじゃつまらないので、私は調べましたよ。
外国人持株比率との関係。

当然の仮説として、外国人持株比率が高い=議決権行使期間にシビア=早期発送、早期掲載を実践しているIR優良企業が多いはず・・・。

では、調査時点での早期掲載ベスト10企業を発表しましょう

1.IJTテクノロジーHD(7315) 総会日6/27、発送日6/10、公表日5/23で、なんと18日前
 すごいです  どうしたら、こんなに早く公表できるのでしょう。校了はもっと前のはずですよね・・・。
 しかし、手元の電子版四季報(2014年3月公表のもの)でみると、外国人持株比率は「-」。
 四季報記者に通知してないのか、0.0%なのか。
 いずれにせよ、いすゞ系の部品3社が統合した会社のようですから、外人比率はそんなに高くなさそうです。

以下、どんどんいきます。

2.川重冷熱工業(6414) 総会日6/27、発送日6/12、公表日5/27→16日前 0.0%
3.イクヨ(7273) 6/25、6/9、5/27→13日前 0.5%


このへんまでは、外国人持株比率は全然です・・・。

4.資生堂(4911) 6/25、6/2、5/20→13日前 31.4%
 はやっ
 5/20なんて、ウチは決算発表してまだバタバタしてましたよ・・・
 外国人持株比率も、さすがの30%超え。

5.LIXILグループ(5938) 6/20、6/3、5/23→11日前 35.9%
6.日本アジア投資(8518) 6/25、6/6、5/27→10日前 10.4%
7.サンリオ(8136)      6/26、6/9、5/30→10日前 16.8%
8.ローランド(7944)     6/27、6/5、5/26→10日前 31.1%
9.日揮(1963)         6/27、6/5、5/27→9日前 44.5%
10.マキヤ(9890)       6/27、6/10、6/2→8日前 0.0%
10.平和(6412)        6/27、6/10、6/2→8日前 11.2%
10.ヤフー(4689)      6/19、6/4、5/27→8日前 47.4%
10.ケンコーマヨネーズ(2915) 6/24、6/9、6/1→8日前、3.6%

以下、同一日ごとに主な企業をご紹介しましょう。

7日前掲載
ミスミG(9962) 60.2%、第一生命(8750) 36.6%、ライフネット生命(7157) 27.9%、
オムロン(6645) 43.9%、JVCケンウッド(6632) 20.4%、三菱電機(6503) 34.4%、
千代田加工建設(6366) 24.8%、プロトコーポレーション(4298) 22.3%、
帝人(3401) 26.9%、双日(2768) 35.4%、西松建設(1820) 24.7% など。
意外だったのが、ホンダ(7267)が7日前なのですが、四季報で外国人持株比率が確認できませんでした。相当高そうですけどね。
また、九州発のホームセンターのナフコ(2790)が21.1%

やっぱり、IR優良企業賞を獲得しているような会社さんが、数多く見られます。
例えば、資生堂は2回受賞、ホンダもそうですし、オムロンは確か4回、帝人だって2回、「カーと言えばGoo」とともちんが言ったプロトコーポレーションだって特別賞等計2回受賞してます。
また、千代田加工建設さんだって、IR協議会で活躍されたりとIRに積極的な会社です。

もう1つの特徴は、外国人持株比率が高いような会社は、その業界のトップあるいは世界的なシェアトップか高い企業であるケースが多いことでしょう。

LIXIL、ローランド、日揮やサンリオは言うに及ばず、ヤフー、オムロン、双日などなど・・・。

6日前掲載
アシックス(7936) 40.5%、トプコン(7732) 22.4%、野村不動産HD(3231) 31.3%、
ツクイ(2398) 25.9% など。

5日前掲載
イオンフィナンシャル(8570) 28.2%、HOYA(7741) 58.4%、大東建託(1878) 55.7% など。

次点の4日前掲載のなかには、日本電産(6594)27.4%や、オートバックスセブン(9832)30.3%といった企業名も(オートバックスは2013年IR優良企業特別賞受賞)。


一方で、知名度の高い会社さんばかりでなく、知名度が低い、または外国人持株比率が0.0%などの会社さんも結構あり、持株比率10%未満という会社も上位中24社ほどありました(5日前掲載までの上位グループの外国人持株比率の平均は19.6%)。

こうした会社さんは(ウチもそうですが)、知名度が低く、時価総額も低いままでとどまっているため、何とかして時価総額をあげよう、注目度を上げようと頑張っているIR担当者がいるものと推測されます。
でなければ、わざわざ社内を説得して回って、スケジュール厳しいなか、早期掲載なんてしませんよ。

個人投資家のスタンスでいえば、そうした会社をこそ拾っておくと、良い意味での割安株投資になるかもしれません。

上記に挙げた有名企業でない会社を、ぜひExcelを使ったスクリーニングによって浮き上がらせてください。
時価総額までは調べてませんでしたが、時価総額や予想PERなどと合わせて、早期掲載というコーポレート・アクション(それも、企業の意図・努力が色濃く出ている)とをリンクさせてみるのは、おそらく有意な結果を導くものと思います。
いよいよ2月決算、5月総会のシーズンを迎えます。
例年、自社の株主総会準備を並行で進めながら、IR部門や法務部門・総務部門のスタッフにあちこちの株主総会に行ってもらっています。
いろんな会社・経営者・株主総会のあり方があるんだなぁと目を肥やしてもらいながら、直近の総会での話題はどんなものか情報収集しています。

もちろん、少し時間をおけば、株主名簿管理人である信託銀行の担当者の方から、各月の株主総会のまとめ(開催時間や出席者数の集計・統計データのほか、主な質疑の内容)をいただけるのですが、やはり、自分の目で見て感じることが重要だと思います。

特に経験の浅いスタッフの場合には、信託さんから聞くだけなのと、いざ総会の現場に行って、激しい罵声を浴びる社長の姿や、好業績に会社と株主とがともに一体感を醸し出している良い総会など、いろいろな形がありますから、ぜひ経験を深めてほしいと思っています。

で、私は東宝の株主総会に行きました。

日時: 2014年5月22日(木)10:00~11:03
場所: 有楽町マリオン11F (TOHOシネマズ日劇スクリーン1)
おみやげ: 【先渡し】 映画の無料招待券2枚

会社に寄らずに直行したので、丸の内仲通りで優雅にモーニングコーヒーなぞ飲みながら出勤途中のビジネスマンやOLさんたちをウォッチしたりして時間を潰したにもかかわらず、だいぶ早く会場についてしまいました。

マリオンの11階に上がって、受付周辺で開場を待ちましたが、どうもピリピリした雰囲気が漂っています。インターカムで何やら連絡とりあっている人も多数・・・。
お手洗いの場所を聞くために会場周辺のスタッフさんに声をかけようとして、メチャ身構えられている人もいました。

最近、あちこちの株主総会に出没しては、議長不信任動議を出しまくったり、不規則発言をしては退場くらったりするお行儀の悪い某H株主が活躍する時期ですからねぇ・・・。

会社の人全員がH氏の容姿を見知っているわけではないので、H氏のおかげであちこちの会社がムダに身構えすぎですよ。

そもそも株主総会は、オーナーズ・ミーティングなんですから、キリッとして臨みつつ、会社の方々とのふれ合いやコミュニケーションを楽しみつつ出席したいものです。
H氏のせいで、対決姿勢が煽られている気がするなぁ。ホント迷惑です。
(会社に戻ればIR担当者として、株主総会の準備にも関わるわけですから、そりゃH氏対策はしてますよ。まぁ、その話題は別のときに。)

スクリーン1は、かなり大きい映画館(946名)ですから、後方から前方まで奥行きがあります。
割とびっちり座っていないので、出席者数としては半分以下といったところでしょうか。
(EDINETで議決権行使結果の臨時報告書を見てみましたが、当日出席者数が明らかにならないパターンの記載ぶりだったので、当日出席者数は不明です。)

開会前には、直近上映の映画予告編などを何本か流していました。

開会5分前に、檀上にライトが入り、幕模様のような映像が投影されました
(実際には、議長席や役員席等が設置されていますから、スクリーンの幕は開きっ放しなんですね。そこで、幕模様を投影しておくことで、あとで開会の雰囲気を出そうという演出です。)

VTR(映像とナレーション)による事業報告があるパターンで、これもだいぶ浸透してきていますね。大規模な会社では当たり前になりつつある印象です。
これはこれですみやかなのですが、私などは、やはり社長自らに説明してもらいたいなぁと思います。
社長が説明することにより、同じ数字でも、それが良い数字なのか、悪い数字と思っているのか、感情が入りますからね。
会社がその数字をどう思っているか、株主が感じることができる。
株主総会に直に足を運んだ以上、その感触を得られれば、それにまさるものはありませんよ。

VTRでも招集通知でも、当期中の映画作品の紹介がありましたが、当期は当たり年だったんでしょうね。
「風立ちぬ」の大ヒットのほか、「劇場版SPEC」シリーズ、「トリック劇場版」や「謝罪の王様」、「永遠のゼロ」、手堅く名探偵コナンシリーズ、ドラえもん、クレヨンしんちゃん、ポケモン等の子供向け映画もしっかりラインアップされています。

しかし、それでも映画事業(映画営業事業、映画興行事業、映像事業)は前期比4.1%減だそうで。
素人考えでも、スマホや家庭での映像視聴にパイを食われている気がします。

意外だったのは、「レ・ミゼラブル」等がヒットした演劇事業が前期比1.8%増、不動産事業が前期比0.8%増と健闘していること。
とくに不動産事業のなかには、東宝スタジオをベースに映画作品を制作したり、CMを誘致するなど、活用されているようです。

全体的には、本業が徐々に縮小してく業界において、副業で何とかやりくりしている印象が強いです。このへんは、同業他社(東映など)と比較してみるのも興味深いかもしれません。

さて、質疑応答の要旨は以下のとおり。

(1) 上映前の予告編が長過ぎてテンションが下がるため、改善を。

 →これについてはTOHOシネマズで内規があるそうで、CM6分、予告編10分以内なんだそうです。
 また、会社側も、アンケート等では予告編等をみて、他に見たい映画が出てきた等のお客の声が一番多いとのことで、まぁそりゃそうでしょう、と。
 その気になれば飛ばせる家庭用DVDと違って、劇場での予告編も含めて楽しみましょうよ。
 せっかち過ぎな気がするなぁ。

(2) 東宝不動産から負ののれんが発生しているか?

(3) 映画館における車イスのお客に対する対応について

(4) アニメ制作者等の下請け事業者保護のため、契約単価の引き上げ及びそのチェック体制の構築を。

(5) 興行シェアについては30%という目標が示されたが、他の経営内容については具体的な説明が何もない。もっと具体的に将来の計画を説明せよ。

(6) 「弱虫ペダル」など、東宝は子供向け作品によいものが多いと子供に聞いた。しかし、ミュージカル作品など、キャパが小さく予約が取れない。

(7) 経営内容について、日付(いつまでに)・目標等、数値を明らかにして具体的に説明しないと、それが達成できたのかできなかったのか、株主の立場で評価できない。

 →映画、演劇は(当たり外れの)振れ幅が大きく、リスクが高い事業であり、なかな読み切れないため、数値目標の提示は困難である。

 ・・・そうはいっても、会社側は4/14の決算発表の際に、決算短信で来期の業績予想を開示してますけど。
 東宝 平成26年2月期 決算短信

 それによれば、平成27年2月期通期では、こんな連結業績予想です(百万円)。

 売上高 187,000 (前期比▲5.4%
 営業利益 23,500 ( 〃 ▲17.4%
 経常利益 25,000 ( 〃 ▲17.6%
 当期純利益 15,700 ( 〃 ▲11.3%

 まぁ、これを事業報告なり、対処すべき課題なりで株主さんたちに面と向かって説明するのはしんどいですね。逆に炎上しそうですもの

 法的には将来の話をする必要はなく、事業報告や連結・単体の計算書類に書かれていること及びその補足説明に必要な内容を説明すればよいわけですから、説明義務違反にはなりません。
 しかし、当たり外れのリスクが高く、将来計画は示せませんとバッサリ切って捨てる態度で乗り切ろうとするのは、いかがなものかなぁ。IR的にはペケでしょ

コスト削減はするのでしょうが、新たな事業の育成をしてますとか、ここに注力しますとか、それとの見合いで来期はまだちょっと厳しいんです、とか言わないと。
そんなことでは、大株主が阪急阪神HD(12.31%)、阪急不動産(8.17%)、H2Oリテイリング(7.37%)とか、フジメディアHD(2.66%)、TBS(2.44%)なので、役員陣は安穏としてるんじゃないのという批判をかわせないように思いますけど。

(8) 上映前の盗撮防止等の注意が苦痛。また、見に行った映画の1枚もののチラシがもうなく、高額なパンフレットしかないのは困る。

このあたりで、ほぼ1時間経過で、質疑を打ち切り採決へ。
最近珍しくなりつつある個別上程・個別審議の方式でした。
何だか、一括上程方式の会社にばかり当たっていたので、ちょっと新鮮でしたが、やっぱりやや冗長な気がしますね。

新任役員は舞台ソデでスタンドマイクで挨拶していましたが、ライティングが悪く、遠くではまったくお顔がわかりませんでした。ピンスポットがあればよかったですね。

全体としては、業績面での期待に欠ける、今イチな株主総会でした。

4/9付の日本経済新聞夕刊に、「サイバー攻撃、リスク開示、政府検討、企業が投資家向けに」との記事が出ていました。

この種の情報については、米証券取引委員会(SEC)の開示のしくみのほうが先行しており、その取り組みを参考にして、わが国の上場企業が金融商品取引法に基づいて公開する有価証券報告書などに、サイバー攻撃のリスクに関する項目を設けることを検討しているということです。
有報がそもそも狙いとしている投資家に対する情報提供のみならず、経営者に対してサイバー攻撃への対応に関する意識を高めることもあわせて狙っているようです。

これはどこから出てきた話かというと、 政府の情報セキュリティ政策会議(議長・菅義偉官房長官)が4月中にも決めようとしているサイバーセキュリティー対策に、導入の検討を盛り込む方向のようです。
これを受け、金融庁が制度変更を検討し、2016年度までに結論を得ると報道されています。

2016年度っていうことは、2017年3月期ということですから、もう少し先ですね。
しかし、サイバー攻撃でビットコインが何億円も消え去ってしまうご時世ですから、3年も先だと
もうどうなってるか予想もつきません


SECに提出する年次報告書「10-K」では、2011年にSECが指針を作っており、企業がサイバー攻撃を受けた場合に起こり得るリスクを公表するよう求めているとのことです。

しかし、サイバー攻撃で何が流出するか、どこに影響が出るか分からないとも思いますが、それをリスク情報として開示しろと言われても、何をどう書いたらいいものやら・・・

具体的には、米企業では、
顧客情報が流出した場合に発生するコスト、社内システムが破壊された場合の生産体制やサプライチェーンへの影響等について記載しているのだそう。
さらには、過去に攻撃を受けた企業だと、その攻撃の概要や被害の見積りなども、開示対象にされるそうな。

あんまり詳細に開示すると、かえって余計に攻撃されてしまいそうな気もしますよね。

この種の情報は、現在、有価証券報告書のリスク情報の記載上の留意事項では、とくに求められていません。
日本の場合、リスク情報については、新規上場の手引き(マザーズ)においても、かなり簡略化された内容しか示されておらず、形式的な記載が足りているかどうかよりも、だいぶ実質的な審査に振られているように思われます。

■東証 新規上場ガイドブック(マザーズ編)
 http://www.tse.or.jp/listing/b_listing/guide/mothers.html

 4章 上場審査の内容

 http://www.tse.or.jp/listing/b_listing/guide/b7gje600000055v7-att/b7gje6000003k1do.pdf

上記ガイドブックでは、以下のように示されています。

企業内容の開示に係る書類が法令等に準じて作成されており、
 かつ、投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性
のある事項、
 リスク要因として考慮されるべき事項、主要
な事業活動の前提となる
 事項について分かりやすく記載さ
れていること

この「リスク要因として考慮されるべき事項」が何なのか、がよく分かりませんよね。
宝印刷などの有価証券報告書記載例で紹介されている、開示ガイドラインではこんなことを例示しています。

■金融庁 企業内容等開示ガイドライン
 http://www.fsa.go.jp/common/law/kaiji/01.pdf

 「事業等のリスク」については、上記のP.66から 

C 個別ガイドライン
 「事業等のリスク」に関する取扱いガイドライン

というのが掲載されており、そちらに11項目の例示が載っています。

(1) 会社グループがとっている特異な経営方針に係るもの
(2) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動に係るもの
(3) 特定の取引先等で取引の継続性が不安定であるものへの高い依存度に係るもの
(4) 特定の製品、技術等で将来性が不明確であるものへの高い依存度に係るもの
(5) 特有の取引慣行に基づく取引に関する損害に係るもの
(6) 新製品及び新技術に係る長い企業化及び商品化期間に係るもの
(7) 特有の法的規制に係るもの
(8) 重要な訴訟事件等の発生に係るもの
(9) 役員、従業員、大株主、関係会社等に関する重要事項に係るもの
(10) 会社と役員又は議決権の過半数を実質的に所有している株主との間の重要な取引関係等に係るもの
(11) 将来に関する事項について

それぞれに、さらに詳細な例示が列挙されていますので、詳しくは上記リンクをたどって、原文にあたってください。

われわれ、開示担当者たちの理解では、この開示ガイドラインに書かれてしまうと、該当している場合に書いていないと、また財務局の有報レビュー等で怒られたりするので、書かざるを得ない、ということになります(有価証券報告書レビューについてはこちら)。

記事では、米国の指針には法的強制力はなく、日本でも義務付けは見送る見通しとされていました。
うーむ、どこで記載を(ソフトに)求めていくのでしょうか・・・

記事では、米国上場しているトヨタやソニーの有価証券報告書で、すでにサイバー攻撃に対するリスク情報が開示されていると紹介していました。

■トヨタ自動車 2013年3月期 有価証券報告書
 http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/library/negotiable/2013_3/

たくさん書いてあるので、項目だけ紹介しますと・・・。

(1) 市場および事業に関するリスク
 ① 自動車市場の競争激化
 ② 自動車市場の需要変動
 
③ お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新商品を投入する能力
 ④ 
効果的な販売・流通を実施する能力
 
⑤ ブランド・イメージの維持・発展
 
⑥ 仕入先への部品供給の依存
 
⑦ 金融サービスにおける競争の激化
 
⑧ デジタル情報技術への依存
(2) 金融・経済のリスク
 ① 為替および金利変動の影響
 ② 原材料価格の上昇
 
③ 金融市場の低迷
(3) 政治・規制・法的手続・災害等に関するイベント性のリスク
 ① 自動車産業に適用される政府の規制
 ② 法的手続
 
③ 自然災害、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、戦争、テロまたはストライキの発生

上記⑧の「デジタル情報技術への依存」の項目において、ハッカーからの攻撃により
機密データ漏洩やクルマの運転支援機能への悪影響のほか、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務などが発生する可能性があり、これにより財政状態、経営成績およびキャッシュフローに悪影響が生じる可能性が指摘されています。

また、ソニーの有価証券報告書のリスク情報は、もっとすごいよ。

■ソニー 
2013年3月期 有価証券報告書
 
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/library/h24_q4.pdf

なんと記載されているリスク情報は41項目

このブログに全部は記載しきれませんので、詳細は上記の有価証券報告書に譲るとしまして、サイバー攻撃の部分をご紹介しますと・・・(項目番号33番)。

2011年のサイバー攻撃によるサービス停止があったことを開示しつつ、将来そうした出来事があれば、
・主要な事業オペレーションの停止、
・生産・出荷・売上計上の遅れ、
・設備やネットワーク及び情報システムのセキュリティ強化、修繕・置換えにかかる多額の費用計上


などが生じる可能性があるとし、その結果必要な関連費用や損失を保険金でカバーしきれない場合や支払保険料が増加する場合、会社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があると指摘しています。


うぅむ・・・、SEC基準で上場している開示先進企業は、こんなにもリスク情報の記載に細心の注意を払っているんですね。
いやー、勉強になりました。




昨日、ふたたび東証からインサイダー取引防止のための啓発ポスターが送られてきました。

以前も送ってきたのですが、その時のお話は下記↓に書きました。

■東証 インサイダー取引防止ポスター
 http://ameblo.jp/ir-man/entry-10782149220.html


今回は、どんなデザインなんだろう

ワクワクしながら箱を開けてみましたが、あれれ、またあのジャラッとした絵柄のやつね・・・

おんなじやないかい

どんなポスターかというと、東証のページをご覧ください。

■JPX 日本取引所自主規制法人
 http://www.jpx.or.jp/comlec-publication/publication/index.html

正確に言うと、JPXのロゴが入っているので、新しいバージョンなんでしょうけどね。
せっかくロゴ新しくして作り直すなら、最終選考に残った別バージョンのデザインも採用すればよかったのに。

うーん、ちょびっと残念。