マルハ本社は、ニチロの完全子会社化にあたり、のれんが160億円ほど発生するようです。
4/13付 日経金融新聞では、「マルハグループ本社(1334)はニチロ(1332)を完全子会社化することで、M&Aに伴う会計上のコストを示す「のれん」が160億円程度発生しそうだ。」と伝えています。
マルハとニチロは2006年12月中旬に経営統合を発表しました。
2007年10月に経営統合するとしています。
マルハ本社を存続会社として、株式交換方式でニチロを完全子会社とする形態を採用し、ニチロ1株につきマルハ0.905株を割り当てると決まったようです。
http://www.maruha-group.com/news/pdf/070412kabushiki_koukan.pdf
仮に、マルハの11日終値(230円)で試算したニチロの買収価格は、1株当たり208.15円( 230円×0.905=208.15円 )。
これに発行済み株式数( 164,492,464 株)をかけると、342億3,900万円。
ニチロは優先株を40億円発行しているそうなので、これを加算すると、買収総額は382億円にのぼります。
ニチロの純資産(2006年9月末時点)は224億円(EDINETで確認すると223億64百万円ですね)となってます。
したがって、38,239百万円-22,364百万円=15,875百万円となり、新聞にあるように、買収総額との差額である約160億円が『のれん』となります。
のれんを今後20年間で償却するとすれば、営業利益を年間約8億円押し下げることになります。
2006年3月期の両社の連結営業利益を単純に合算すると151億円、と新聞は書いていますが、2007/3期予想数字を調べてみましょう。
ニチロ 2007/3期 連結営業利益 2,900百万円(四季報予想)
一応、業績予想の修正も出されていますが、経常利益はわかっても営業利益は書いてないので、四季報に拠りました。
http://www.nichiro.co.jp/press_release/pr0235.pdf
マルハ 13,500百万円(同)。 両者を合算すると、連結営業利益は164億円ほど。
8億円ののれん償却費が重荷になるほどではないと思いますが、それは20年均等償却の場合の話。
(企業結合会計基準では20年以内に定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する、としています。)
仮に、統合効果がうまく出なかったりしたら、減損を迫られることもあり、その場合には営業利益を圧迫する可能性も。
うーむ。
経営統合って、果たして、会計的に得なのか損なのか・・・。
経営的には、得だと信ずるからやるんでしょうけれど、会計の結果は、そうした経営陣の思いを表現できるのだろうか。