Air Repair iQのタイヤサイズの選定はどこに重きをおいて考えたかを書こうかと思います。この選定方法は自動車趣味的な感覚からは少しずれるかと思いますので悪しからずです

事の始まりはiQの6速MT標準ギヤモデルの加速とレスポンスの鈍さから。
原因は出力特性のマズさもあるのですがギヤ比のマズさからも来ています。このT/Mユニット、もともとがEU専用モデルの1.4ディーゼル用のギヤボックスを流用しているところから始まります。

異様にファイナルギヤ比が大きい上に加速に大切な1~3速のステップアップ比が大きくて逆に4~6速のステップアップ比が小さいんですね。すなわち高速巡行用6速MTということになるのです。


※クロスギヤ組み換え作業中のAir Repair iQ用6速ギヤ シフターがシンプルな構造である事がわかります。そのおかげで結構シフトフィールは良いんですね。

このギヤ比は中低速トルクの高いディーゼルエンジンだからこそ活きるもので、出力を機関回転数頼りとするガソリンエンジンに対しては不利となりますよね。

最高出力発生回転数が6000rpm、最大トルク発生回転数は4000rpm。単純に考えると4000rpm~6000rpmが有効出力回転域という事になります。

そこでより詳しく分析するためにギヤ車速線図というものを作成します。ギヤ比とエンジン回転数とタイヤ外径から車速を計算し表した図ですね。


※いろいろと考察作業中の車速線図

本当の最終減速はファイナルギヤ比ではなくて車輪の直径になるんです。車輪径が小さくなると減速比は小さくなりますし、同じギヤ比での比較でもステップアップ比はクロスしていくのです。逆に大径化すると開いていきますよね。

この車速線図と出力曲線図があれば大体のチューニングの方向性を組み立てる事ができるようになるんです。

この分析で行くとiQの標準指定サイズのタイヤ(616㎜)だと明らかにハイギヤードになり1NRの出力特性とは合致しないことが明確になるのです。

じゃあ単純に小径化できるのかというとそうでは無いんですよね(´ε`;)
ここで重要なのがロードインデックスの数値。これは荷重指数なので車両設計の根幹に関係する部分でそれを下回ることは絶対に避けなければならないのです。
iQのロードインデックス数値は82。ここを基準にタイヤを選びます。

iQの標準状態での1NRのふけ上がり方は、お世辞にもカタログ値が達成できているとは思えないものです。6000rpmまでスムーズにトルクを伴ったまま回転上昇していっているとは到底思えないんですね。実際は5000rpmまでといったところですか・・・

標準ギヤ比で無理矢理引っ張って6000rpmで1速から2速にシフトアップしても標準タイヤ外径のままだと最大トルク発生回転数の4000rpmを下回り加速は相当鈍ってしまいます。

クロスレシオトランスミッションが無い場合にはどのようにするのか?
先ほどの車速線図を読み解く事で車輪外径を小さくしてステップアップ比を小さくしていくんです。ロードインデックス値の設定値は下回らないように。
そして実回転数の上限域を高めてやる。

195/50-16で6400rpmまで回すと1速から2速にシフトアップした際に4000rpmとなりどうにかこうにかトルクバンドに引っかかってくるようになるんですね。
でエンジン側でどうやって6400rpmまでトルクを伴って回るようにしてやるのか?を考えていくのです。

ちょっと奥義を公開してしまったか?(;´∀`)
Air Repair iQのチューニングはトータルで考えながら行ってきました。寂しいのは現状のステップ領域ではやりつくした感があって手を入れるところが無い感じなんですよ。タコ足(ヘッダー)も考えるのですがキャブ車時代と違って費用対効果に対して疑問が出るんですよね。

YAMAHAのEXUPの構造も2TK世代と現行世代ではかなり違っていて流体工学的には退化しているような感じ。でもECU制御によってそれを見事なまでに覆して高出力化と高い環境性能を両立させています。

 


 

静電気除去抑制技術によって空力特性や通電特性を良くして最高のパフォーマンスを引き出すエレスタビシリーズ。燃料の改質によりエンジンの本来の力を引き出すタンクタイガーはこちら。むろん直接販売も大丈夫ですよ


Air Repair 株式会社ホームページ