吸気の邪魔とされているエアフィルター。有名社外ブランドからも多く登場しています。殆どのウリが”吸気効率を高めながら集塵性を増しています”というもの。
エアフィルターは競技のように限定されたエリアで原動機の最高性能を発揮させるためにはやはり邪魔なもの。より多くの空気を吸い込みそれに見合った燃料を送り込み上手く燃焼させるのが力を生み出す条件ですからね。
でも、エアフィルターがないと通常の使用においては大小さまざなな組成の塵を吸い込みエンジンの短命化、下手すれば破損につながりかねませんから結構重要なパーツでもあります。
スポーツエアフィルターのウリの部分”吸気効率を高めながら集塵性を増しています”というのは結構無理があるんですよね。集塵性能と吸気量というのは相反する性能で両立はフィルターの素材だけからいうと不可能なのです。だから思うにちょうどいいところ?的なところで妥協させているはず。
いままで私は競技で有名どころのものを数社使ってきてどれも(・・?な感じ。唯一、今は無きA社さんのサクションBOXだけがだったんですね。
吸気のレスポンス&パワーを左右するのは吸気の流速&流量です。それをフィルター部分だけで考えるとどうしても無理があるんですね。これらの抵抗を含めて吸気効率っていうあやふやな表現がまかり通っているのですが基本的にいうとエアフィルターの吸気抵抗とは総吸気量とフィルターを透過する空気の量との時間的な差(量は体積なので面積と移動量との関係となる)です。
これはキノコ型にしてみたところでの面積増加方法をとっても同じなのです。エンジンルーム内の熱に影響を受けた膨張した空気を吸い込みパワーダウンすることもあります。
サクションBOXの場合、吸気口にはエアファンネルが装備されます(このファンネル形状も原動機の吸気量から算出しなければいけない)。理想的容量の大きいサクションBOXの場合だとエアフィルターの後ろ側、即ち何の抵抗がない空気そのものを吸うので大量に空気を吸う事が可能なのです。
え?でもサクションBOXに装着されているフィルターの濾過抵抗は?という疑問が出てきますよね。これはフィルター後ろの溜めてある空気を先に吸う事で流速が落ちる事で空気のフィルター通過時の抵抗が減る事で解消するのです。また、面積も大きくなる(BOXの一面全部がフィルター)のでなお流速が下がりますよね。
フィルターの抵抗の考え方は繊維の間を空気が抜けることから考えます。考え方を変えると小さなノズルの集合体という考え方ですね。空気は音速以上では動きません。細い通路ほど流速があがるのでエアフィルターのような微小な繊維のようなものとなると簡単にその限界速度域(最大マッハ1=約300Km/s)に達すると考えられます。細いと流速が上がるので通路を大きくすると流速が下がりより多くの空気が流れる事が可能になります。流路を大きくすると小さな塵は通過してしまいますよね。集塵能力と吸気能力(透過能力)の両立が不可能と言えるのはこの大前提があるからなんです。
Air Repair iQで採用しているのがこのサクションBOXの考え方を踏襲したエアスムーサー。純正エアクリーナーケースのエアフィルター後部の容量がかなり大きくチューニング始めた時の検証でかなりの吸い込み方に無駄があった事から色々とその対策案を考えてきた結果生み出したものなんですね。
※エアスムーサーと静電気除去コーティング
エアフィルターより前の部分はダクトがありボンネット開口部に吸い込み口末端があります。この部分の面積が小さいかと思われますが、空気量は流速が関係するので途中で流速を落とせる事ができたならば問題ないのです。逆に運行時の様々なリスクを抑える事ができるのです。
空気の特性をいかに理解しているか・・・
それがリスクを避ける吸気チューニングの要となるのです。
※標高1000m越えでの燃調セッティング確認